社労士試験の独学|択一式問題を解くコツ

まえがき

社会保険労務士試験(以下、社労士試験)の択一式問題を解くコツは、次の2つです。

  • 択一式は記述の間違いを特定し、消去法で解く
  • 解答のルールを事前に決めておく

①は問題の解き方について解説しています。そのため、日頃の勉強にも活かせる内容です。

②は試験問題を解く際のポイントの解説です。

参考|この記事を書いた人の成績はこちら

択一式は記述の間違いを特定し、消去法で解く

解答手順は次の2ステップです。

  • 記述中の間違いを探すように読み、誤りの箇所を特定する
  • 誤りの記述を根拠に消去法で解答する

記述中の間違いを探すように読み、誤りの箇所を特定する

まず、記述を読んで「正しいと思うから正しい!」と解答することは避けます。

理由は次の2つです。

  • 見直しや再考の際に解答した根拠が見えにくくなる
  • 制度には原則と例外があるため正しいと断定することは難しい

具体的な解答手順としては、「記述はすべて正しい」と仮定したうえで、記述中の間違いを探すように読みます。

記述中の間違いを特定したならば、その箇所に下線を引き × と記入します。

例|下線を引き × と記入

労働基準法第10条に定める使用者とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

下線を引いたうえで × 印を付けると解答の根拠が可視化され、見直しをする際の目印にもなります。

解答のポイントは、「誤りだと思うから誤り!」ともしないことです。

つまり、曖昧な根拠で、解答しないようにします。

曖昧な記述は、記述の横に〇とも✕とも印を付けずに「?」でOKです。

例|曖昧ならば〇とも✕とも印をつけない

労働基準法第10条に定める使用者とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

全問をひと通り解いた後に再考する対象が「?」です。

「△」は〇と✕のどちらに近いのか分かりにくいため、私は使わないようにしています。

記述を見て「コレだ!」と解答し、解説を見て「あ〜コッチだったか」で点数が伸びない人は、下線を引いて間違いを特定する方法を試してみてください。

ちなみに、先ほどの例の下線部分は、労働契約法の使用者の定義です。


誤りの記述を根拠に消去法で解答する

試験問題は、5つの選択肢から「正しい記述を選びなさい」「誤りの記述を選びなさい」と問題によって指示は異なります。

どちらの指示がきても、消去法で解きます。

  • 「正しい記述を選びなさい」の指示
    ⇒ 「誤り」の箇所を特定した記述以外を比較し、より「正しい」記述を答えとします
  • 「誤りの記述を選びなさい」の指示
    ⇒ 特定した誤りの箇所を根拠に、誤りの記述を答えとします

もちろん、過去問と同じ論点を問うなど、正誤の判定が明確な問題は即答してください。

なぜ、記述中の誤りを特定し消去法を使うのかというと、「正しそうに見せた記述」に引っかからないためです。

補足|消去法で解く理由

社労士試験は国家試験なので、問題そのものにも精度が求められます。

記述は正しい、記述は誤りと明確に判断できなければなりません。

では、正しいとはなんでしょうか?

一般的に条文や、既知の事実(事例)は正しいとされるでしょう。

(条文や制度が不十分だから正しくないとかではありません)

一方、誤りとはなんでしょうか?

正しいものを改変すると誤り(正しいとは異なるもの)になります。

例|労働契約法の使用者の定義とすることで誤りの記述に改変した問題

労働基準法第10条に定める使用者とは、その使用する労働者に対して賃金を支払う者をいう。

先ほどの例題は、労働基準法の択一式で出題されているパターンです。

他にも、年数や金額を変えたり、「なる」を「ならない」へ変えるなど、条文に手を加えた問題を過去問演習でこなしてきたことでしょう。

つまり、正しいと明確にいえる条文や、既知の事実をベースに試験問題が作られていると考えることができます。

誤りの記述も一見、正しそうに見えるのはこのためです。

試験勉強は、テキスト・問題集などで正しい知識を習得します。

しかし、正しく学んだ知識を素直に問う問題ばかりではありません。

「試されている」という視点で解く「消去法」をおすすめします。


解答のルールを事前に決めておく

「択一式」は、個数問題、組み合わせ問題、誤りを問う問題のように、出題形式が異なります。

言い換える、「選択式」のように正確な知識を真正面から問う問題だけではありません。

試験当日に「記述の内容を判断すること」に集中するため、問題を解くためのルールを事前に決めておきます。

  • 文章量の少ない記述から読む
  • 試験問題を解く順序を事前に決めておく
  • 問題文の指示にチェックを入れる
  • 個数問題はとりあえずマークして後回し
  • 組み合わせ問題は後回しにしない
  • 長文は前段・後段それぞれに「〇 ✕」の印を付けながら読む

上記6つは私が実践したルールです。

それぞれ解説します。


文章量の少ない記述から正誤判定する

70問中1問でもこの方法で解ける問題があれば、1〜2分の時間を捻出できます。

シンプルな方法なのでおすすめです。

科目ごとに解く順序を決めておく

試験当日は210分で70問を解きます。

1問は5つの記述(肢)で構成されるため、1つの記述の正誤判定に使える時間は36秒です。

(実際の試験は見直しの時間を確保するため、より短くなります)

ちなみに、私が受験した令和3年度の「択一式」の試験問題は68ページありました。

「択一式」は全部で70問なので単純に見積ると、1ページ分の文章を読み、正誤を判断し、マークシートを塗りつぶすまでに費やせる時間は約3分です。

試験問題を解く順序を事前に決めておくことで、当日の負担を少しでも軽くしましょう。

問題文の指示にチェックを入れる

(例

問1 労働基準法の総則に関する記述のうち、誤っているものはどれか。

A

B

C

D

E

〇で囲むなり✓でも構いません。

見直しをする際の目印にもなります。

個数問題はとりあえずマークシートを塗りつぶして後回し

記述にひと通り目を通し、正誤の判断がついた数だけマークします。

ちなみに、私の受験した年度で出題された「個数問題」は3問です。

1問も解けなくても合格は可能です。

「正しい記述は1つ」としてマークシートの「A=1つ」を選択したことを表した図。

「個数問題」とは、5つの記述すべてを読まなければ正誤を判定ができない問題です。

組み合わせ問題は後回しにしない

問題の指示によらず、誤りの記述を1つでも特定できれば選択肢をしぼることができます。

「時間がかかるので後回しにする」という考え方もありますが、消去法と相性がいい問題なので、積極的に解答しました。

もちろん、最大3分をかけても解けない問題は後回しです。

ちなみに、私の受験した年度で出題された組み合わせ問題は6問です。

1問も解けなくても合格は可能です。

長文は前段・後段それぞれに「〇✕」の印を付けながら読む

記述の論点を整理すること、見直しや再考の際に解答の根拠を見やすくすることが目的です。


まとめ

択一式は、正しい記述を5つ設定した個数問題を除けば、誤りの記述を1つは設定されています。

誤りの記述は、正しいと明確にいえる条文や、既知の事実がベースとなるため、見分けがつきにくいです。

すべての記述を正しいと仮定したうえで「どこかに間違いはないか」と探し、消去法で解くことを試してみてください。

また、模試などを活用し、解答する際のルールを事前に決めておいてください。

試験当日に「問題を解くこと」に集中しやすくなります。

以上が、社労士試験の択一式問題を解くコツとなります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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