※有期労働契約についての「更新の基準」「雇止めに関する基準」については、改正の内容を含めこちらの記事で解説しています。
この記事では、労働基準法の「労働契約」に関する次の事項を解説しています。
- 労働条件の明示(15条)
- 明示すべき労働条件の範囲、明示の方法(労基則5条)
社会保険労務士試験の独学、労務管理担当者の勉強などに役立てれば嬉しいです。
また、当記事では「期間の定めのある労働契約」を「有期労働契約」と略しています。
当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
労働条件の明示(15条1項)
条文はタブを切り替えると確認できます。
(前段)使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
(後段)この場合において、賃金および労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
労働基準法
第十五条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
前段は、労働条件を明示すべきとする定めです。
後段は、明示の方法についての定めです。
具体的な内容は後ほど解説します。
罰則
労基法15条1項の違反には、30万円以下の罰金が定められています(労基法120条)
労働者派遣であれば、労働者と労働契約関係にある派遣元の使用者が明示します。
労働基準法の適用に関する特例により、派遣元の使用者が労基法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等についても明示が必要です(昭和61年6月6日基発333号)
「労働契約の締結に際し」とあるため、労働契約を交わす時に明示が必要です。労働契約を締結した後(数日以内)に明示するものではありません。
有期労働契約であれば、更新する際にも明示が必要です。
ちなみに、労働者の募集(求人)の際は、労基法15条による労働条件の明示は対象外です。
ただし、職業安定法にて、一定の労働条件についての明示が定められています(職業安定法5条)
明示すべき労働条件の範囲(労基則5条)
労基法15条1項の前段にある、「賃金、労働時間その他の労働条件」については、労基則5条で具体的に定められています。
本条は、使用者が法15条の規定により、労働者に対して明示すべき労働条件の範囲をさだめているのであって、労働基準法にいう労働条件の定義を規定したものではない(昭和29年6月29日基発355号)
これから解説する「明示すべき労働条件」の範囲は、労基法1条および2条でいう労働条件よりも狭くなります。
使用者が労基法15条1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次の①〜⑪に掲げる事項です。
①~④は、必ず明示しなければならない ⇒ 絶対的明示事項
④の2~⑪は、定めた場合に明示しなければならない ⇒ 相対的明示事項
赤字は、令和6年4月1日から適用される基準です(令和5年3月30日厚生労働省令第39号)
① 労働契約の期間に関する事項
①の2 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間または有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む)
①の3 就業の場所および従事すべき業務に関する事項(就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲を含む)
② 労働時間に関する事項
- 始業および終業の時刻
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 休憩時間
- 休日、休暇
- 労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
③ 賃金に関する事項
- 賃金の決定、計算および支払の方法
- 賃金の締切および支払の時期
- 昇給に関する事項
上記の「賃金」から、退職手当および⑤に規定する賃金を除きます。
④ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
④の2 退職手当に関する事項
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲
- 退職手当の決定、計算および支払の方法
- 退職手当の支払の時期に関する事項
⑤ その他賃金に関する事項
- 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)
- 賞与および労基則8条各号に掲げる賃金(臨時の賃金等)
- 最低賃金額に関する事項
⑥ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑦ 安全および衛生に関する事項
⑧ 職業訓練に関する事項
⑨ 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
⑩ 表彰および制裁に関する事項
⑪ 休職に関する事項
ただし、①の2に掲げる事項(更新の基準)については、「契約を更新する場合がある」有期労働契約に限り明示が必要です。
④の2〜⑪については、使用者がこれらに関する定めをしない場合には明示する必要はありません。
有期労働契約について追加される明示事項|
更新後の契約期間中に、無期転換の申込が可能となる有期労働契約が対象です。
令和6年4月1日以降は、次の明示事項が追加されます(労基則5条5項、6項)
- 無期転換申込みに関する事項
- 無期転換後の労働条件の明示
「無期転換の申込が可能となったとき」ではなく、契約更新の際に明示が必要です。
赤字は、令和6年4月1日から施行される部分です(令和5年3月30日厚生労働省令第39号)
労働基準法施行規則
第五条
使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次に掲げるものとする。ただし、第一号の二に掲げる事項については期間の定めのある労働契約(以下この条において「有期労働契約」という。)であって当該労働契約の期間の満了後に当該労働契約を更新する場合があるものの締結の場合に限り、第四号の二から第十一号までに掲げる事項については使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。
一 労働契約の期間に関する事項
一の二 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間(労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)第十八条第一項に規定する通算契約期間をいう。)又は有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む。)
一の三 就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を含む。)
二 始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
三 賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
四 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
四の二 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
五 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及び第八条各号に掲げる賃金並びに最低賃金額に関する事項
六 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
七 安全及び衛生に関する事項
八 職業訓練に関する事項
九 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
十 表彰及び制裁に関する事項
十一 休職に関する事項
(②から⑤までは、省略)
⑤ その契約期間内に労働者が労働契約法第十八条第一項の適用を受ける期間の定めのない労働契約の締結の申込み(以下「労働契約法第十八条第一項の無期転換申込み」という。)をすることができることとなる有期労働契約の締結の場合においては、使用者が法第十五条第一項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、第一項に規定するもののほか、労働契約法第十八条第一項の無期転換申込みに関する事項並びに当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件のうち第一項第一号及び第一号の三から第十一号までに掲げる事項とする。ただし、当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件のうち同項第四号の二から第十一号までに掲げる事項については、使用者がこれらに関する定めをしない場合においては、この限りでない。
⑥ その契約期間内に労働者が労働契約法第十八条第一項の無期転換申込みをすることができることとなる有期労働契約の締結の場合においては、法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第三項に規定するもののほか、労働契約法第十八条第一項の無期転換申込みに関する事項並びに当該申込みに係る期間の定めのない労働契約の内容である労働条件のうち第一項第一号及び第一号の三から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
「休日労働の有無」については、労働条件の明示事項に含まれていません。
使用者は、労働者に対して明示しなければならない労働条件を事実と異なるものとしてはなりません(労基則5条2項)
絶対的明示事項
絶対的明示事項については、一部、令和6年4月1日から取り扱いが変わります。
そのため、厚生労働省で提供している「モデル労働条件通知書」を用いて、絶対的明示事項(①〜④)についての留意点を解説します。
ちなみに、労働条件を明示するための書式は任意です(平成11年1月29日基発45号)
参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|モデル労働条件通知書
有期労働契約は契約の期間を明示します。
なお、期間の定めがない労働契約はその旨(期間の定めなし)の明示が必要です(平成11年1月29日基発45号)
令和6年4月からは、有期労働契約を更新する場合の基準(更新の基準)に、次の明示事項が追加されます。
- 通算契約期間または有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限
また、更新後の契約期間中に無期転換が可能となる有期労働契約については、次の明示事項も追加されます。
- 無期転換申込みに関する事項および無期転換後の労働条件の明示
記事のまえがきで述べたとおり、有期労働契約についての「更新の基準」「雇止めに関する基準」については、改正の内容を含めこちらで解説しています。
令和6年4月1日からは、就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲についても明示が必要です。
就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲は、有期労働契約を含む全ての労働契約で明示が必要です。
令和6年3月31日までの基準では、「雇入れ直後の就業の場所および従事すべき業務を明示すれば足りるものであり、将来の就業場所や従事させる業務を併せ網羅的に明示することは差し支えない」とされていました(平成11年1月29日基発45号)
上記の通達は改正され、令和6年4月1日からは、「雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務に加え、就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲を明示しなければならないこと」という取り扱いが適用されます(令和5年10月12日基発1012第2号)
就業の場所および従事すべき業務
次のように解されています(令和5年10月12日基発1012第2号)
- 就業の場所 ⇒ 労働者が通常就業することが想定されている就業の場所
- 従事すべき業務 ⇒ 労働者が通常従事することが想定されている業務
配置転換、在籍型出向が命じられた場合の場所を含むとされています。
臨時的な他部門への応援業務や出張、研修等、就業の場所および従事すべき業務が一時的に変更される場合は含まれません。
変更の範囲
次のように解されています(令和5年10月12日基発1012第2号)
- 変更の範囲 ⇒ 今後の見込みも含め、当該労働契約の期間中における就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲
労働者がテレワークを行うことが通常想定されている場合には、テレワークを行う場所が「就業の場所の変更の範囲」に含まれます。
一方で、一時的にテレワークを行う場合は含まれません。
「労働時間に関する」として、明示が必要な事項は次の5つです。
- 始業および終業の時刻
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 休憩時間
- 休日、休暇
- 労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
明示の程度
通達によると、労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなければならない と示されています(平成11年1月29日基発45号)
ただし、明示すべき事項の内容が膨大となる場合は、労働者の利便性をも考慮し、次の取り扱いでも足りるとしています。
「所定労働時間を超える労働の有無」以外の事項については、勤務の種類ごとの始業および終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すこと(前掲通達)
「賃金に関する」として、明示が必要な事項は次の3つです。
- 賃金の決定、計算および支払の方法
- 賃金の締切および支払の時期
- 昇給に関する事項
「昇給に関する事項」は絶対的明示事項ですが、書面によって明示しなければならない労働条件からは除かれます(後述)。
辞令に併せて表示する場合
労働者の採用時に交付される辞令に、就業規則に規定されている賃金等級を表示しても差し支えない とされています(平成11年1月29日基発45号)
退職の事由および手続、解雇の事由等を明示しなければならない と示されています(平成11年1月29日基発45号)
ただし、明示すべき事項の内容が膨大となる場合は、労働者の利便性をも考慮し、次の取扱でも足りるとしています。
労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すこと(前掲通達)。
明示の方法
労基法15条1項後段では、「賃金および労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」と定めています。
「で、何をどうやって?」については、労基則5条3項、4項に定められています。
労基則5条3項|
労基法15条1項後段の厚生労働省令で定める事項は、絶対的明示事項です。ただし、昇給に関する事項は除きます。
労基則5条4項|
労基法15条1項後段の厚生労働省令で定める方法は、「労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付」とされています。
ただし、労働者が希望した場合には、次のいずれかの方法とすることができます。
- FAXを利用する送信の方法
- 電子メール等による送信の方法
電子メール等による明示は、労働者が電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限られます。
労働基準法施行規則
第五条
③ 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める事項は、第一項第一号から第四号までに掲げる事項(昇給に関する事項を除く。)とする。
④ 法第十五条第一項後段の厚生労働省令で定める方法は、労働者に対する前項に規定する事項が明らかとなる書面の交付とする。ただし、当該労働者が同項に規定する事項が明らかとなる次のいずれかの方法によることを希望した場合には、当該方法とすることができる。
一 ファクシミリを利用してする送信の方法
二 電子メールその他のその受信をする者を特定して情報を伝達するために用いられる電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。以下この号において「電子メール等」という。)の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)
絶対的明示事項は「昇給に関する事項」を除いて、書面(書式は任意)による明示が必要です。
相対的明示事項と「昇給に関する事項」は、明示は必要なものの、書面によることまでは要求されていません。
通達によると、労働者に適用する部分を明確にして、就業規則を交付しても差し支えないと示されています(平成11年1月29日基発45号)
書面以外の明示方法についての実務的な例(SNSでの明示例など)は、下記のリンク先のリーフレットを参照ください。
参考|厚生労働省(外部サイトへのリンク)|関係条文等|事業主向けリーフレット
明示された労働条件が事実と相違する場合(15条2項)
実際の労働条件が、明示された内容と相違するケースがあります。
そこで、特定の労働条件が明示された内容と相違する場合に、労働者が労働契約を即時解除できる規定が設けられています。
前項(労基法15条1項)の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
労働契約の即時解除の対象となるのは、「明示された労働条件のすべて」ではなく、労基法15条1項によって明示すべきとされる労働条件に限ります。
また、労働者自身(他の労働者についてではなく自己)に関する労働条件に限られます(昭和23年11月27日基収3514号)
労基法15条2項に該当すると、労働者は「やむを得ない事由」がなくとも、また告知期間を設けなくとも契約を即時に解除できます。
即時解除と同時に、労働契約は契約締結時に遡ることなく将来にむかって消滅します(民法630条)
「社宅を供与する」と明示したものの、実際は供与しなかったケースについて、次のように示されています(昭和23年11月27日基収3514号)
- 社宅を利用する利益が労基法11条にいう「賃金」に該当するならば、法15条1項の明示事項であるから法15条2項が適用される
- 社宅が「福利厚生施設」とみなされる場合には、法15条1項の労働条件には含まれないから法15条2項は適用されない。
なお、労基法15条2項の違反については、罰則は定められていません。
帰郷する場合の旅費の負担(15条3項)
例えば、就業に合わせて実家から社員寮などに引越したものの、労働契約の即時解除の要件に該当し、労働契約を即時解除してから14日以内に実家に帰るというケースです。
前項(労基法15条2項)の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
あくまで、労基法15条1項によって明示すべきとされる労働条件が事実と相違したために、労働契約を即時解除した場合の規定です。
必要な旅費については、労働者本人のみならず、就業のため移転した家族の旅費を含むとされています(昭和22年9月13日発基17号)
家族の範囲は、労働者により生計を維持されている同居の親族(いわゆる内縁関係の者を含む)と解されています(昭和23年7月20日基収2483号)。
通達には、労働者が就業直前に住んでいた場所に限らず、父母その他親族の保護を受ける場合には、父母等の住所までの実費を含むとあります(昭和23年7月20日基収2483号)
罰則
労基法15条3項の違反には、30万円以下の罰金が定められています(労基法120条)
ここまで労働基準法の「労働契約」に関する次の事項を解説しました。
- 労働条件の明示(15条)
- 明示すべき労働条件の範囲、明示の方法(労基則5条)
社労士試験の勉強を初めて日が浅い方は、過去問題集などを繰り返し解き、焦らずに学習してみてください。
ちなみに、私は「社労士試験当日にすべて暗記していたか」と聞かれれば、「いいえ」と答えます。
最後に、この記事の内容をまとめて終わりにします。
長文にお付き合い頂きありがとうございました。
労基法15条1項
(前段)使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
(後段)この場合において、賃金および労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
労基法15条2項
前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
労基法15条3項
前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から14日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
労基則5条1項
使用者が労基法15条1項前段の規定により労働者に対して明示しなければならない労働条件は、次のとおり。
※赤字は、令和6年4月1日から適用される基準
絶対的明示事項
① 労働契約の期間に関する事項
①の2 有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項(通算契約期間または有期労働契約の更新回数に上限の定めがある場合には当該上限を含む)
①の3 就業の場所および従事すべき業務に関する事項(就業の場所および従事すべき業務の変更の範囲を含む)
② 労働時間に関する事項
- 始業および終業の時刻
- 所定労働時間を超える労働の有無
- 休憩時間
- 休日、休暇
- 労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
③ 賃金に関する事項
- 賃金の決定、計算および支払の方法
- 賃金の締切および支払の時期
- 昇給に関する事項
上記の「賃金」から、退職手当および⑤に規定する賃金を除く
④ 退職に関する事項(解雇の事由)
相対的明示事項
④の2 退職手当に関する事項
- 退職手当の定めが適用される労働者の範囲
- 退職手当の決定、計算および支払の方法
- 退職手当の支払の時期に関する事項
⑤ その他賃金に関する事項
- 臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)
- 賞与および労基則8条各号に掲げる賃金(臨時の賃金等)
- 最低賃金額に関する事項
⑥ 労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
⑦ 安全および衛生に関する事項
⑧ 職業訓練に関する事項
⑨ 災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
⑩ 表彰および制裁に関する事項
⑪ 休職に関する事項
労基則5条5項、6項(有期労働契約について追加される明示事項)
更新後の契約期間中に、無期転換の申込が可能となる有期労働契約が対象(契約更新の際に明示が必要)。
- 無期転換申込みに関する事項
- 無期転換後の労働条件の明示
労基則5条2項
使用者は、労働者に対して明示しなければならない労働条件を、事実と異なるものとしてはならない。
労基則5条3項、4項
絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)については、書面の交付により明示しなければならない。
ただし、労働者が希望した場合には、電子メール等(書面を作成することができるものに限る)による明示も可能となる。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 労働基準法15条、120条
- 労働基準法施行規則5条
- 昭和22年9月13日発基第17号(労働基準法の施行に関する件)
- 平成11年1月29日基発第45号(労働基準法の一部を改正する法律の施行について)
厚生労働省|令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されますより|https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html
- 令和5年10月12日基発1012第2号
- モデル労働条件通知書
解釈例規(昭和63年3月14日基発150号)