この記事では、労働基準法の6章の2(妊産婦等)から、次の規定を解説しています。
- 産前産後休業(65条1項、2項)
- 軽易な業務への転換(65条3項)
- 妊産婦の労働時間の規制(66条)
- 育児時間(67条)
危険有害業務の制限(64条の3)については、坑内業務の就業制限(64条の2)と併せてこちらの記事で解説しています。
社会保険労務士試験の独学、労務管理担当者の勉強などに役立てれば嬉しいです。
当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
産前産後休業(65条1項、2項)
労基法65条1項、2項は、産前産後の休業期間についての規定です。
産前産後の休業は、出産に伴う就業困難という個人的条件によって設けられています(昭和27年7月25日基収383号)
そのため、産前産後の休業期間中にたまたま争議行為が行われたとしても、産前産後休業としての取り扱いに別段の影響をあたえません(同旨 前掲通達)
条文はタブを切り替えると確認できます。
産前休業|
① 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはなりません。
産後休業|
② 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはなりません。
ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない とされています。
労働基準法
第六十五条
使用者は、六週間(多胎妊娠の場合にあっては、十四週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
② 使用者は、産後八週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後六週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
(③については省略)
産前休業は、女性の請求が要件です(請求しない選択も可能です)
産後休業は、女性の請求を必要としません(請求しなくとも就業禁止です)
産後8週間のうち、6週間は必ず就業禁止です。
6週間を経過した場合の就業は、女性が請求し、かつ、医師が支障ないと認めた業務に就かせることが要件です。
罰則
労基法65条に違反した使用者は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(労基法119条)
「出産」の範囲
労基法65条にいう「出産」は、妊娠4カ月以上(*)の分娩をいい、生産のみならず死産を含みます(昭和23年12月23日基発1885号)
(*)1カ月は28日として計算します。4カ月以上というのは、85日(目)以降を意味します。
したがって、妊娠中絶であっても、妊娠4カ月以後に行った場合は、産後休業(労基法65条2項)の規定が適用されます(昭和26年4月2日婦発113号)
産前産後休業における給与の支払い
産前、産後ともに、休業期間中の給与については、有給とも無給とも定められていません。
そのため、労働協約、就業規則等の定めによります。
ちなみに、健康保険の被保険者は、産前産後の期間において労務に服さなかった場合には、出産手当金の支給対象となります(健康保険法102条)
ただし、報酬を受ける(給与が支払われる)場合には、出産手当金が支給されなかったり、減額されたりします(健康保険法108条、109条)
産前産後の数え方については、健康保険の出産手当金(以前42日(多胎98日)後56日)でも必要となります。
社労士試験には、カレンダーや早見表などは持ち込めません。
そのため、独力で「何月何日から何月何日まで」を計算できるようにしておいてください。
産前
- 出産日は、産前6週間に含まれます(昭和25年3月31日基収4057号)
- 産前6週間は、自然の分娩予定日を基準として計算します(昭和26年4月2日婦発113号)
産前は、出産予定日(当日を入れる)から数えて6週間(多胎の場合は14週間)遡った日からスタートし、(出産予定日より出産が早くとも遅くとも実際に)出産した日(当日を入れる)まで です。
例えば、出産予定日が7月23日の場合は、6月12日(当日)から7月23日(当日の終わり)までが産前休業です。
(6月の「19日間」と7月の「23日間」を合計して「42日間」)
ただし、実際の出産日によっては、6週間(多胎の場合は14週間)よりも長短が生じます。
産後
- 産後8週間は、実際の出産日を基準として計算します(昭和26年4月2日婦発113号)
産後は、(出産予定日より出産が早くとも遅くとも実際に)出産した日の翌日から数えて8週間です。
例えば、出産予定日が7月23日で、出産日も7月23日の場合は、7月24日から9月17日までが産後休業です。
(7月の「8日間」と8月の「31日間」と9月の「17日間」を合計して「56日間」)
実際の出産日が予定日よりも遅れ、7月26日となった場合は、7月27日から9月20日までが産後休業となります(出産予定日から実際の出産日までは、産前休業に含まれます)
一方で、実際の出産日が予定日よりも早まり、7月19日となった場合は、7月20日から9月13日までが産後休業です(産前休業は7月23日まで延長されません)。
産後休業の開始日は、実際の出産日によって変動します。ただし、産後休業の期間(8週間)は変動しません。
参考|当月は残り何日ある?
7月は全部で「31日」あります。7月24日(当日)から数えて、7月は「残り何日あるか」は次のように考えてみてください。
7月24日の時点で、7月は「23日」経過した
⇒ 31日▲23日 = 残りは8日
31日から7月「24日」を差し引いて「7日」と計算してしまう場合は、上記の考え方を試してみてください。
産前産後の女性については、労基法65条の規定によって休業する期間(産前産後休業の期間)及びその後30日間は、解雇が禁止されます(労基法19条)
産前休業については、女性労働者からの「請求」が必要なため、請求が無い場合の解雇制限が問題となります。
なお、男女雇用機会均等法の定めにより、事業主が妊娠、出産等の解雇ではないと証明しない限り、妊娠中の女性労働者、出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効となります(均等法9条4項、均等法施行規則2条の2)
① 引き続き就業している場合
6週間以内に出産する予定の女性労働者が、産前休業を請求せずに引き続き就業している場合は、労基法19条の解雇制限期間にはなりません(昭和25年6月16日基収1526号)
ただし、通達では「その期間中は女性労働者を解雇することのないよう指導されたい」と示しています(前掲通達)
② 長期欠勤中に産前の期間に入る場合
私病による長期欠勤中の女性労働者を所定の手続きのうえ解雇しようとしたところ、女性労働者が産前の期間に入った事案です。
「産前休業の請求の意思表示が全くなされなかった場合に解雇できるか」、また、「産前休業の請求を行うためには就労していることが前提要件とはならない法意と解してよいか」という照会に対して、「見解のとおりであるが、①と同様に指導されたい」と示しています(昭和25年6月16日基収1526号)
軽易な業務への転換(65条3項)
軽易な業務への転換は、妊娠中の女性が対象です。
産前休業と異なり、出産予定日から6週間以内か否かは問われません。
③ 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
妊娠中の女性が請求した場合に、使用者に転換義務が生じます。
なお、産後1年を経過しない女性(産婦)については、制度の対象外です(原則ではなく、対象外です)
罰則
労基法65条に違反した使用者は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(労基法119条)
「軽易な業務への転換」の趣旨
通達によると、労基法65条3項は、原則として、女性が請求した業務に転換させる趣旨だと示しています(昭和61年3月20日基発151号)
ただし、「新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない」とされています(前掲通達)
妊産婦の労働時間の規制(66条)
- 妊娠中の女性 ⇒ 妊婦
- 産後1年を経過しない女性 ⇒ 産婦
「妊産婦」とは、「妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性」をいいます(労基法64条の3)
労基法66条では、妊産婦について、変形労働時間制、時間外労働、休日労働、深夜業を制限しています。
ただし、いずれの制限も「妊産婦の請求」が要件です。
① 変形労働時間制の制限|
妊産婦が請求した場合には、次の規定にかかわらず、1週間について労基法32条1項の労働時間、1日について労基法32条2項の労働時間を超えて労働させることはできません。
- 1カ月単位の変形労働時間制(32条の2)
- 1年単位の変形労働時間制(32条の4)
- 1週間単位の非定型的変形労働時間制(32条の5)
② 時間外、休日労働の制限|
妊産婦が請求した場合には、次の規定にかかわらず、時間外労働、休日労働をさせることはできません。
- 災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合(33条1項)
- 公務のために臨時の必要がある場合(33条3項)
- 時間外・休日労働協定(36協定)による場合(36条1項)
③ 深夜業の制限|
妊産婦が請求した場合には、深夜業(午後10時から午前5時まで)をさせることはできません。
労働基準法
第六十六条
使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十二条の二第一項、第三十二条の四第一項及び第三十二条の五第一項の規定にかかわらず、一週間について第三十二条第一項の労働時間、一日について同条第二項の労働時間を超えて労働させてはならない。
② 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、第三十三条第一項及び第三項並びに第三十六条第一項の規定にかかわらず、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはならない。
③ 使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。
軽易な業務への転換(65条3項)と異なり、産後1年を経過しない女性(産婦)についても、制度の対象です。
罰則
労基法66条に違反した使用者は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(労基法119条)
変形労働時間制は採用できるの?
結論としては、妊産婦であっても変形労働時間制のもとで労働することは可能です。
ただし、妊産婦が請求したならば、法定労働時間の総枠の範囲内で労働させる場合でも、労基法66条1項に則って運用することが必要です。
通達では、次のように解釈が示されています(昭和63年1月1日基発1号)
妊産婦については、母性保護の見地から、使用者は妊産婦が請求した場合には当該妊産婦に時間外労働、休日労働又は深夜業をさせてはならないこととされている。
事業場において1カ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制又は1週間単位の非定型的変形労働時間制が採られることとなった場合におけるこれらの制度による1日又は1週間の法定労働時間を超える時間についても、現行の時間外労働に係る妊産婦の取扱いとの均衡にかんがみ、妊産婦が請求した場合には使用者は当該妊産婦を当該時間については労働させてはならないこととしたものであること。
時間外労働は、妊産婦の請求を要件に禁止されます(労基法66条2項)
しかしながら、変形労働時間制のもとでは、法定労働時間を超える時間を所定労働時間として定める(例えば、特定の日について1日10時間と定める)ことが可能です。
そのため、変形労働時間制のもとでは時間外労働とはならない労働(上記の例でいうと2時間)についても、労基法66条1項で規制の対象としています。
フレックスタイム制との関係
フレックスタイム制については、労基法66条1項による制限(変形労働時間制の制限)の対象外です。
(変形労働時間制と異なり、始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねているため)
ただし、フレックスタイム制においても労基法66条2項、3項は適用されます。
そのため、妊産婦の請求を要件として、時間外労働、休日労働、深夜業が禁止されます。
妊産婦の「請求」について、いくつか論点を解説します。
部分的な請求
先述のとおり、妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働、深夜業は禁止されます(労基法60条2項、3項)
上記の請求は、時間外労働についてのみを請求するなど、それぞれの制限を別々に請求することも可能です(同旨 昭和61年3月20日基発151号)
それぞれについての部分的な請求(例えば、時間数を制限するなど)も認められています(同旨 前掲通達)
また、妊産婦が身体等の状況の変化等に伴い、請求内容を変更することも認められています(前掲通達)
請求するか否かや、請求の範囲については、妊産婦に委ねられています(一律に制限するのではなく、就業を希望する労働者などに配慮しています)
使用者は、請求された範囲で妊産婦を労働させなければ足りると解されています(前掲通達)
軽易な業務への転換との関係
妊娠中の女性(妊婦)については、労基法66条に基づく請求、労基法65条3項に基づく請求(軽易な業務への転換)のいずれか一方または双方を行うことが認められています(昭和61年3月20日基発151号)
繰り返しになりますが、産後1年を経過しない女性(産婦)は、「軽易な業務への転換」の対象ではありません。
労基法41条との関係
妊産婦のうち、労基法41条の適用を受ける労働者(管理監督者など)については、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されません。
そのため、妊産婦であっても、変形労働時間制の制限(66条1項)および時間外、休日労働の制限(66条2項)は適用されません(昭和61年3月20日基発151号)
したがって、管理監督者の妊産婦は、労基法66条1項、2項における請求の対象外です。
ただし、労基法41条の適用を受ける労働者についても深夜業の制限は適用されます(前掲通達、最二小判 平21.12.18 ことぶき事件)
したがって、管理監督者の妊産婦についても、深夜業の制限(66条3項)は請求できます。
労基法41条の2との関係
高度プロフェッショナル制度(労基法41条の2)の適用を受ける労働者については、深夜の割増賃金に関する規定も適用除外です。
母性保護関係の規定については、変形労働時間制の適用制限(66条1項)、時間外労働及び休日労働の制限(66条2項)、育児時間(67条)の規定は適用されないが、それ以外の規定については適用される と解されています(令和元年7月12日基発0712第2号)。
したがって、高度プロフェッショナル制度の適用を受ける妊産婦についても、深夜業の制限(66条3項)は請求できます。
育児時間(67条)
ここからは、「育児時間」について解説します。
簡単にいうと、仕事の休憩時間とは別に、赤ちゃんのお世話をする時間を請求することが認められています。
① 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。
② 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。
休憩時間(労基法34条)と異なり、労働時間の途中に与える(請求する)ことを強制する規定ではありません。
勤務時間の開始後30分や、終了前30分について請求しても構いません(同旨 昭和33年6月25日基収4317号)
なお、育児時間を有給とするか無給とするかは、自由です(労使にゆだねられています)
ただし、有給であろうと無給であろうと、育児時間として請求した時間に労働させると労基法67条の違反となります(同旨 昭和33年6月25日基収4317号)
罰則
労基法67条に違反した使用者は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金の対象となります(労基法119条)
1日の労働時間が4時間以内の場合
労基法67条は、1日の労働時間を8時間とする勤務形態を予想し、その間に1日2回の育児時間を義務付けるものと解されています(昭和36年1月9日基収8996号)
そのため、1日の労働時間が4時間以内の場合には、1日1回の育児時間で足りるとされています(前掲通達)
託児所の施設がある場合
企業で託児施設を設けている場合は、往復時間を含めて30分の育児時間を与えれば違法ではありません(昭和25年7月22日基収2314号)
ただし、往復時間を除いて実質的な育児時間を与えることが望ましい とされています(前掲通達)
使用者は、1カ月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制のもとで労働者を労働させる場合には、育児を行う者等に育児等に必要な時間を確保できるような配慮をしなければなりません(労基則12条の6)
そのため、労基法66条1項の規定による請求をせずに変形労働時間制のもとで労働し、1日の所定労働時間が8時間を超える場合には、具体的状況に応じ法定以上の育児時間を与えることが望ましい とされています(昭和63年1月1日基発1号)
派遣中の労働者に対する責任の分担
「派遣中の労働者」についての労基法6章の2(64条の2から68条まで)における使用者の責任は、派遣元と派遣先で分担しています。
結論としては、産前産後休業(65条1項、2項)、軽易な業務への転換(65条3項)については、派遣元のみが責任を負います(労働者派遣法44条2項)
そのため、労基法65条の「請求」は、派遣元の使用者に対して行います。
それ以外の規定(64条の2、64条の3、66条から68条まで)は、派遣先のみが責任を負います(労働者派遣法44条2項)
そのため、各規定における「請求」は、派遣先の使用者に対して行います。
派遣元、派遣先それぞれの責任の分担については、下表に整理しておきます。
制度 | 条項 | 派遣元 | 派遣先 |
坑内労働の就業制限 | 64条の2 | ー | 〇 |
危険有害業務の就業制限 | 64条の3 | ー | 〇 |
産前産後休業 | 65条1項、2項 | 〇 | ー |
軽易な業務への転換 | 65条3項 | 〇 | ー |
妊産婦の労働時間の規制 | 66条 | ー | 〇 |
育児時間 | 67条 | ー | 〇 |
生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置 | 68条 | ー | 〇 |
ここまで、次の規定を解説しました。
- 産前産後休業(65条1項、2項)
- 軽易な業務への転換(65条3項)
- 妊産婦の労働時間の規制(66条)
- 育児時間(67条)
産前産後休業は、解雇制限(労基法19条)とも関係のある規定です。
社労士試験の勉強においても、期間を具体的に計算できるレベルを目指してみてください。
他にも、「請求」の有無や、「妊娠中の女性」なのか「妊産婦」なのか、または「生後満1年に達しない生児を育てる女性」なのかなど、場合分けが必要です。
ケアレスミスを防止する意味でも、丁寧に記述を読んでみてください。
最後に、この記事を簡単にまとめて終わりにします。
制度の対象と請求の要否
制度 | 請求 | 対象 |
産前休業 | 要 | 6週間(多胎14週間)以内に 出産する予定の女性 |
産後休業 | 不要 | 産後8週間を経過しない女性 |
産後の就業 | 要 | 産後6週間を経過した女性 (医師が支障がないと認めた業務に限る) |
軽易な業務への転換 | 要 | 妊娠中の女性 |
変形労働時間制の制限 | 要 | 妊産婦 |
時間外、休日労働の制限 | 要 | 妊産婦 |
深夜業の制限 | 要 | 妊産婦 |
育児時間 | 要 | 生後満1年に達しない生児を育てる女性 |
産前産後休業
- 出産は、妊娠4カ月以上(1カ月は28日として計算する。したがって85日以上)の分娩をいい、生産のみならず死産を含む
- 産前、産後ともに、休業期間中の給与については労働協約、就業規則等の定めによる
- 産前6週間は、自然の分娩予定日を基準として計算する
- 出産日は、産前6週間に含まれる
- 産後8週間は、実際の出産日を基準として計算する
軽易な業務への転換
- 原則として、女性が請求した業務に転換させる趣旨
- ただし、新たに軽易な業務を創設して与える義務まで課したものではない
- 産後1年を経過しない女性(産婦)については、制度の対象外
変形労働時間制の制限
- 妊産婦について変形労働時間制を適用除外とする規定ではない
- フレックスタイム制は含まれない
- 労基法41条に該当する者(管理監督者など)については、制限の対象外
時間外、休日労働の制限
- 労基法33条(1項および3項)についても制限の対象
- フレックスタイム制を採用している場合でも、請求があれば制限される
- 労基法41条に該当する者(管理監督者など)については、制限の対象外
深夜業の制限
- フレックスタイム制を採用している場合でも、請求があれば制限される
- 労基法41条に該当する者(管理監督者など)についても、請求があれば制限される
育児時間
- 休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分
- 1日の労働時間が4時間以内の場合には、1日1回の育児時間で足りる
- 有給無給については自由(就業規則等の定めによる)
- 勤務時間の始めや終わりに請求しても構わない
派遣中の労働者
産前産後休業(65条1項、2項)、軽易な業務への転換(65条3項)については、派遣元のみが責任を負う。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 労働基準法19条、65条、66条、67条、119条
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)44条
- 昭和63年1月1日基発1号(改正労働基準法の施行について)
厚生労働省ホームページ|女性労働者の母性健康管理等についてより|
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/seisaku05/index.html
- 働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について
厚生労働省ホームページ|「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について|通達より|
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000148322_00001.html
- 令和元年7月12日基発0712第2号(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法関係の解釈について」の一部改正について)
解釈例規(昭和63年3月14日基発150号)