この記事では、労働基準法の4章から、フレックスタイム制(32条の3)を解説しています。
社会保険労務士試験の独学、労務管理担当者の勉強などに役立てれば嬉しいです。
当記事は、法定労働時間(特例を含む)、休憩、休日(休日振替、代休を含む)について学習を終えているという認識で解説しています。
あいまいな方は、こちらの記事を先にご覧ください。
当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しておりますが、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
フレックスタイム制の概要(32条の3)
フレックスタイム制の趣旨と現状
フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業および終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能とし、労働時間を短縮しようとする制度と説明されています(平成30年9月7日基発 0907第1号)
令和6年の就労条件総合調査によると、フレックスタイム制を採用している企業割合は 7.2%です。企業規模が大きいほど採用割合は高くなる傾向が見られます。
条文はタブを切り替えると確認できます。
要件|
フレックスタイム制を採用するためには、次のいずれもが必要です。
- 就業規則その他これに準ずるものに「始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねること」を定める
- 労使協定(書面による協定)により一定の事項(後述)を規定する
労使協定|
協定を締結する労働者側の当事者は、労働者の過半数で組織する労働組合の有無で分れています。
ある場合 ⇒ その労働組合
ない場合 ⇒ 労働者の過半数を代表する者
労使協定の行政官庁(所轄労働基準監督署長)への届出義務の有無は、清算期間の長さにより分れます。
- 清算期間が1カ月以内のもの ⇒ ない
- 清算期間が1カ月を超えるもの ⇒ ある
なお、「届出」は労使協定の効力を発生させるための要件ではありませんが、労使協定の届出義務に違反した者は、30万円以下の罰金に処せられます(労基法120条)
就業規則その他これに準ずるもの|
就業規則の作成義務の有無(常時10人以上の労働者を使用するか否か)で分れています(昭和22年9月13日発基17号)
ある使用者 ⇒ 就業規則
ない使用者 ⇒ 就業規則に準ずるもの
効果|
フレックスタイム制を採用すると、労働者が自ら決めた労働時間により、法定労働時間を超えて労働させることができます。
ただし、①清算期間(上限は3カ月)を平均したときに、1週間あたりの労働時間が法定労働時間(40時間または44時間)に収まらなければなりません。
清算期間が1カ月を超えるもの|
清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制には法定労働時間の特例は適用されません(労基則25条の2第4項)。そのため、週法定労働時間は40時間です。
また、清算期間が1カ月を超える場合には、上記①に加え②の条件も満たさなければなりません。
②清算期間をその開始の日以後1カ月ごとに区分し、区分した各期間(最後に1カ月未満の期間が生じる場合には、その期間)を各期間ごとに平均したときに、1週間あたりの労働時間が50時間を超えないこと。
労働基準法
第三十二条の三
使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 清算期間における総労働時間
四 その他厚生労働省令で定める事項
② 清算期間が一箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。
③ 一週間の所定労働日数が五日の労働者について第一項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第三十二条第一項の労働時間」とあるのは「第三十二条第一項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第二項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を七で除して得た数をもってその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。
④ 前条第二項の規定は、第一項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない。
労働基準法施行規則
第十二条の三
法第三十二条の三第一項(同条第二項及び第三項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下この条において同じ。)第四号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 標準となる一日の労働時間
二 労働者が労働しなければならない時間帯を定める場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻
三 労働者がその選択により労働することができる時間帯に制限を設ける場合には、その時間帯の開始及び終了の時刻
四 法第三十二条の三第一項第二号の清算期間が一箇月を超えるものである場合にあっては、同項の協定(労働協約による場合を除き、労使委員会の決議及び労働時間等設定改善委員会の決議を含む。)の有効期間の定め
② 法第三十二条の三第四項において準用する法第三十二条の二第二項の規定による届出は、様式第三号の三により、所轄労働基準監督署長にしなければならない。
清算期間とは、フレックスタイム制の適用単位となる3カ月以内の期間です。
フレックスタイム制では、清算期間における総労働時間(フレックスタイム制における所定労働時間)を定めます。
実際に労働する(した)時間は、清算期間を平均すると法定労働時間(40時間または44時間)に収まることが必要です。
そのため、清算期間における法定労働時間の総枠(所定労働時間の上限)は、次のように計算されます(昭和63年1月1日基発1号)
$$週法定労働時間 × \frac{清算期間の暦日数}{7}$$
労働者は、清算期間を通して、総枠の範囲内で定めた総労働時間を労働するよう、各日の始業および終業の時刻を自ら決定します。
そのため、清算期間が終了するまでは、ある日の労働時間が短くなっても直ちに欠勤となるものではなく、また、ある日の労働時間が長くなっても直ちに時間外労働とはなりません(時間外労働については後述します)
フレックスタイム制においては「使用者が各日、各週の労働時間を特定しない」ということが、変形労働時間制と大きく異なるポイントです。
完全週休2日制で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)については、1日に8時間を超えない労働であっても、清算期間における実際の労働時間の合計が「法定労働時間の総枠」を超えるケースが生じます。
例えば、暦日数が31日の月において、曜日の巡りにより所定労働日が23日、休日が8日となる場合です。1日8時間の労働でも法定労働時間の総枠を超えてしまいます。
清算期間における法定労働時間の総枠(原則)
⇒ 40時間 × 31日 ÷ 7 ≒ 177.1時間
実際の労働時間の合計
⇒ 8時間 × 23日 = 184時間
上記の不都合を解消するため、週の所定労働日数が5日(完全週休2日制)の労働者に限り、労使協定(①の計算方法を用いる旨の)を締結することにより、②の時間数を1週間あたりの労働時間の限度とすることが可能となっています(労基法32条の3第3項)
$$清算期間における所定労働日数 × 8時間$$
$$①の時間÷\frac{清算期間の暦日数}{7}$$
①の時間(総枠)を清算期間の週数で平均したものが②の時間(1週の限度)です。
就業規則その他これに準ずるものには、「始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねる旨」を定めます。
労基法89条は、就業規則で「始業および終業の時刻」を定めることと規定していますが、フレックスタイム制を採用する場合には、就業規則において「始業および終業の時刻を労働者の決定にゆだねる旨」の定めをすれば同条の要件を満たします(昭和63年1月1日基発1号)
労使協定に規定する事項は次のとおりです(労基法32条の3、労基則12条の2)
- フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
- 清算期間(3カ月以内の期間に限る)
- 清算期間の起算日(労基則12条の2)
- 清算期間における総労働時間
- その他厚生労働省令で定める事項
その他厚生労働省令で定める事項は次のとおりです(労基則12条の3)
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイムを定める場合には、その時間帯の開始および終了の時刻
- フレキシブルタイムに制限を設ける場合には、その時間帯の開始および終了の時刻
- 清算期間が1カ月を超える場合は、労使協定の有効期間(労働協約による場合を除く)
箇条書きで定める必要はありませんが、清算期間が1カ月を超える場合の届出については、様式(第3号の3)が指定されています。
標準となる1日の労働時間
フレックスタイム制において、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間です。
フレックスタイム制のもとで労働する労働者が年次有給休暇を取得した日は、標準となる1日の労働時間を労働したものとして取り扱うことになります(昭和63年1月1日基発1号)
コアタイム
1日のうち、労働者が労働しなければならない時間帯です。コアタイムは、日によって設けたり、時間帯が異なっても構いません。
フレキシブルタイム
1日のうち、労働者が自ら労働時間を決定することができる時間帯です。
フレックスタイム制においては「出社と退社の時刻は労働者に任せますが、コアタイムの間は会社にいてください」といった意味合いです。
なお、フレキシブルタイムが極端に短い場合や、コアタイムの開始から終了までの時間と標準となる1日の労働時間がほぼ一致している場合等については、基本的には始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねたことにはならず、フレックスタイム制の趣旨に合致しないと解されています(昭和63年1月1日基発1号)
フレックスタイム制は、1カ月単位の変形労働時間制と異なり、労働者が自ら労働時間を決定できるため、妊産婦についての制限(労基法66条1項)、育児を行う者等への配慮規定(労基則12条の6)はありません。
年少者
満18才未満の年少者については、フレックスタイム制の規定は適用されません(労基法60条1項)
ちなみに、フレックスタイム制には、労基法60条3項は適用されません。そのため、1週間について48時間の範囲で運用することもできません。
一般職の地方公務員
地方公務員法58条3項により、労基法32条の3の規定は適用除外となっているため、「労基法によるフレックスタイム制」は適用されません。
派遣労働者について、派遣先においてフレックスタイム制の下で労働させるケースです。
派遣元の使用者において、次のいずれもが必要です(労働者派遣法44条2項後段、昭和63年1月1日基発1号)
- 派遣元事業場の就業規則その他これに準ずるものにより、始業および終業の時刻を派遣労働者の決定に委ねることを定めること
- 派遣元事業場において労使協定を締結し、所要の事項について協定すること
- 労働者派遣契約において当該労働者をフレックスタイム制の下で労働させることを定めること
なお、フレックスタイム制の下で行われる実際の就業(労働時間、休憩、休日等)については、派遣先のみが使用者とみなされます(労働者派遣法44条2項前段)
フレックスタイム制における時間外労働、休日労働
フレックスタイム制を採用すると、清算期間を単位として時間外労働(いわゆる法定外残業)を判断します。
そのため、労基法36条の規定による協定については、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、1カ月および1年について協定すれば足りるとされています(平成30年12月28日基発1228第15号)
なお、フレックスタイム制を採用する事業場においても、使用者には、各労働者の各日の労働時間を把握する義務があります(昭和63年3月14日基発150号)
以降の「時間外労働」は、「労基法36条に基づく時間外労働」を意味しています。
フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が時間外労働となります。
具体的な計算方法は、次の式によります(平成30年12月28日基発1228第15号)
清算期間における実労働時間数
ー( 週法定労働時間 × \(\frac{清算期間の暦日数}{7}\))
なお、完全週休2日制を採用しており、労基法32条の3第3項(特例)を適用している場合は、法定労働時間の総枠は「清算期間における所定労働日数 × 8時間」となります(清算期間が1カ月を超えるケースも同様です)
次の①②の時間を合計したものが時間外労働となります。
① 週平均で50時間を超えた時間
時間外労働となるのは、清算期間を1カ月ごとに区分した各期間における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間あたり50時間を超えて労働させた時間です。
1カ月ごとに区分すると最後に「1カ月未満の期間」が生じる場合には、「1カ月未満の期間」において判定します。
具体的な計算方法は、次の式によります(平成30年12月28日基発1228第15号)
清算期間を1カ月ごとに区分した期間における実労働時間数
ー (50 × \(\frac{清算期間を1カ月ごとに区分した期間における暦日数}{7}\))
なお、時間外労働が生じたならば、清算期間の途中であっても、各期間に対応した賃金支払日に割増賃金を支払わなければなりません(平成30年12月28日基発1228第15号)
② 法定労働時間の総枠を超えた時間
基本的には、清算期間が1カ月以内のケースと同様です。
時間外労働となるのは、清算期間における実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間です。ただし、上記①で時間外労働として算定した時間は除きます(平成30年12月28日基発1228第15号)
対象となるのは、清算期間が1カ月を超えるフレックスタイム制において、フレックスタイム制により労働させた期間が清算期間よりも短い労働者です。
例えば、清算期間(1カ月を超える)の途中で退職が生じた場合です。清算期間は終了していませんが、「実際に労働した期間」について法定労働時間の総枠を考慮するイメージです。
フレックスタイム制により労働させた期間を平均したときに、1週間あたりの労働時間が40時間を超えるならば、超えた時間(すでに時間外労働または休日労働として計算した時間を除く)については、労基法37条の規定の例により割増賃金の支払いが必要となります(労基法32条の3の2)
第三十二条の三の二
使用者が、清算期間が一箇月を超えるものであるときの当該清算期間中の前条第一項の規定により労働させた期間が当該清算期間より短い労働者について、当該労働させた期間を平均し一週間当たり四十時間を超えて労働させた場合においては、その超えた時間(第三十三条又は第三十六条第一項の規定により延長し、又は休日に労働させた時間を除く。)の労働については、第三十七条の規定の例により割増賃金を支払わなければならない。
労基法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)では、休日労働(1週間に1日の法定休日に行う労働)と時間外労働とを区別しています。
そのため、フレックスタイム制のもとで法定休日に労働した時間は全て休日労働としてカウントし、35%以上の割増賃⾦率で計算した賃⾦の⽀払が必要となります。
休日労働の時間を清算期間における総労働時間の範囲に含めたり(通常の労働時間に含めることで割増賃金を支払わなかったり)、法定労働時間の総枠を超えた時間(時間外労働として割増賃率を25%以上)として計算することはできません。あくまで休日労働としての割増賃金が必要です。
清算期間における労働時間の過不足の繰越
清算期間における総労働時間(フレックスタイム制における所定労働時間)と、実際の労働時間とに過不足が生じるケースがあります。
そこで、ある清算期間で過不足となった労働時間および賃金を清算期間内で清算するのではなく、次の清算期間に繰り越すことは可能なのかという疑義が生じます。
通達では、「実際に労働した時間が清算期間における総労働時間として定められた時間に比べて過不足が生じた場合には、当該清算期間内で労働時間及び賃金を清算することがフレックスタイム制の本来の趣旨であると考えられるが」としつつ、次のように繰越の可否が示されています(昭和63年1月1日基発1号)
清算期間における実際の労働時間に過剰があった場合に、総労働時間として定められた時間分はその期間の賃金支払日に支払うが、それを超えて労働した時間分を次の清算期間中の総労働時間の一部に充当することは、その清算期間内における労働の対価の一部がその期間の賃金支払日に支払われないことになり、労基法24条に違反し、許されないものであること(昭和63年1月1日基発1号)
上記通達が示すように、賃金の全額払の原則に反するため、過剰となった時間を次の清算期間に繰り越すことは認められません。
そのため、ある清算期間で過剰となった労働時間についての賃金は、その清算期間で清算する(過剰となった時間分の賃金を含めて支払う)ことが必要です。
清算期間における実際の労働時間に不足があった場合に、総労働時間として定められた時間分の賃金はその期間の賃金支払日に支払うが、それに達しない時間分を、次の清算期間中の総労働時間に上積みして労働させることは、法定労働時間の総枠の範囲内である限り、その清算期間においては実際の労働時間に対する賃金よりも多く賃金を支払い、次の清算期間でその分の賃金の過払を清算するものと考えられ、労基法24条に違反するものではないこと(昭和63年1月1日基発1号)
ある清算期間において不⾜した時間を、次の清算期間の総労働時間に加算する場合でも、加算した後の時間(合計)は「法定労働時間の総枠」に収まらなければなりません。
もちろん、過払い賃金として清算するのではなく(繰り越さずに)、労働時間の不足が生じた清算期間内で清算する(不⾜した時間分の賃⾦を控除して支払う)方法でも構いません。
ここまでフレックスタイム制について解説しました。
フレックスタイム制は、始業および終業の時刻の決定を労働者に委ねているため、働き方改革においても期待されている制度です。
しかしながら、ここまでの解説のとおり、制度の運用は単純ではありません(当記事では解説していない、時間外労働の上限規制等も考慮が必要です)
社労士試験の勉強においては、過去に問われた論点に合わせ、改正内容についても確認しておきたいところです。
最後に、この記事をまとめて終わりにします。
制度の概要|
フレックスタイム制を採用するためには、「就業規則その他これに準ずるもの」に「始業および終業の時刻を労働者の決定に委ねること」を定め、かつ、「労使協定」により次の事項を明らかにする。
- フレックスタイム制の対象となる労働者の範囲
- 清算期間(3カ月以内の期間に限る)
- 清算期間の起算日(労基則12条の2)
- 清算期間における総労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイムを定める場合には、その時間帯の開始および終了の時刻
- フレキシブルタイムに制限を設ける場合には、その時間帯の開始および終了の時刻
- 清算期間が1カ月を超える場合は、労使協定の有効期間(労働協約による場合を除く)
フレックスタイム制を採用すると、労働者が自ら決めた労働時間により、法定労働時間を超えて労働させることができる。
ただし、①清算期間(上限は3カ月)を平均したときに、1週間あたりの労働時間が法定労働時間(40時間または44時間)に収まらなければならない。
また、清算期間が1カ月を超える場合には、①に加え②の条件も満たす必要がある。
②清算期間をその開始の日以後1カ月ごとに区分し、区分した各期間(最後に1カ月未満の期間が生じる場合には、その期間)を各期間ごとに平均したときに、1週間あたりの労働時間が50時間を超えないこと。
法定労働時間の総枠|
清算期間における法定労働時間の総枠(原則)
= 週法定労働時間 × (\(\frac{変形期間の暦日数}{7}\))
清算期間における法定労働時間の総枠(完全週休2日制 + 労使協定を締結)
= 清算期間における所定労働日数×8時間
フレックスタイム制における時間外労働
清算期間が1カ月以内のケース|
- 清算期間における実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間
清算期間が1カ月を超え、3カ月以内のケース|
- 清算期間を1カ月ごとに区分した各期間における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間あたり50時間を超えて労働させた時間
- 清算期間における実労働時間のうち、法定労働時間の総枠を超えて労働させた時間。ただし、上記の方法ですでに時間外労働として算定した時間は除く
清算期間(1カ月を超える)の途中に入退職等が生じたケース|
- フレックスタイム制により労働させた期間を平均したときに、1週間あたりの労働時間が40時間を超えるならば、超えた時間(すでに時間外労働または休日労働として計算した時間を除く)
清算期間における労働時間の過不足の繰越
実際の労働時間が過剰
⇒ 過剰となった時間の賃金を次の清算期間に繰り越すことはできない
実際の労働時間が不足
⇒ 不⾜した時間分の賃⾦を支払い、不足した時間を次の清算期間に加算することはできる。ただし、加算した後の時間(合計)は法定労働時間の総枠の範囲内に収める必要がある
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 労働基準法32条の3、32条の3の2、120条
- 労働基準法施行規則12条の3
- 昭和22年9月13日発基17号(労働基準法の施行に関する件)
- 昭和63年1月1日基発1号(改正労働基準法の施行について)
平成30年9月7日基発 0907第1号|
https://www.mhlw.go.jp/content/000465064.pdf
平成30年12月28日基発1228第15号|
https://www.mhlw.go.jp/content/000465759.pdf
解釈例規(昭和63年3月14日基発150号)