この記事では、育児介護休業法の9章から、次の規定を解説しています。
- 職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等(25条)
- 労働者の配置に関する配慮(26条)
- 再雇用特別措置等(27条)
- 指針(28条)
- 職業家庭両立推進者(29条)
25条1項、26条、28条、29条における労働者からは、日々雇用される者を除きます。
当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。
詳しくは免責事項をご確認ください。
25条|職場における育児休業等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等
職場で行われる育児および介護に関するハラスメントへの対策を事業主へ業務付けた規定です。
職場
「職場」には、業務を遂行する場所であれば、出張先、業務で使用する車中及び取引先との打ち合わせ場所等も含まれます(令和5年4月28日 雇均発0428第3号)
なお、勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当します(前掲通達)
ハラスメント対策が求められるのは、職場で行われる、次の制度または措置の利用についての言動です(則76条)
- 育児休業
- 介護休業
- 子の看護等休暇
- 介護休暇
- 所定外労働の制限
- 時間外労働の制限
- 深夜業の制限
- 育児のための所定労働時間の短縮措置
- 育児休業に関する制度に準ずる措置、在宅勤務等の措置、始業時刻変更等の措置
- 介護のための所定労働時間の短縮等の措置
- 柔軟な働き方を実現するための措置
⑪の措置は令和7年10月1日施行です。
事業主には、労働者に対する上記①〜⑪の利用に関する言動によって就業環境が害されないよう、相談体制の整備などが義務付けられています。
(2項の労働者には、日々雇用される者を含みます)
事業主は、次の事項を理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。
- 労働者が1項の相談を行ったこと
- 労働者が事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたこと
26条|労働者の配置に関する配慮
簡単にいうと、労働者を転勤させようとする場面での配慮義務です。
事業主は、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、就業の場所の変更により就業しつつ子の養育または家族の介護を行うことが困難となる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育または家族の介護の状況に配慮しなければなりません。
通達によると、「配慮」の解釈は次のよう示されています(令和5年4月28日 雇均発0428第3号)
- 「配慮」とは、労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものの対象となる労働者について子の養育又は家族の介護を行うことが困難とならないよう意を用いることをいう
- 配置の変更をしないといった配置そのものについての結果や労働者の育児や介護の負担を軽減するための積極的な措置を事業主に求めるものではない
27条|再雇用特別措置等
(27条の労働者には、日々雇用される者を含みます)
育児等退職者(*1)に対する努力義務です。
(*1)妊娠、出産若しくは育児又は介護を理由として退職した者をいいます。
事業主は、育児等退職者について、必要に応じ、再雇用特別措置(*2)その他これに準ずる措置を実施するよう努めなければなりません。
(*2)退職の際に、就業が可能となったときに当該退職に係る事業の事業主に再雇用されることを希望する申出をしていた育児等退職者について、当該事業主が、募集または採用に当たって特別の配慮をする措置をいいます。
28条|指針
厚生労働大臣が指針を定めて公表することになっています。
具体的には、「子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針」が定められています。
29条|職業家庭両立推進者
事業主は、職業家庭両立推進者を選任するように努めなければなりません。
簡単にいうと、職業生活と家庭生活の両立が図られるように、措置の企画立案や周知、広報活動などを担当します。
職業家庭両立推進者は、一定の業務を遂行するために必要な知識及び経験を有していると認められる者のうちから、事業主が選任します(則77条)
推進者の選任についての業務(規定)は、下のタブに格納しておきます。
令和7年10月1日施行の条項です。
- 21条1項
- 21条2項及び3項(これらの規定を23条の3第6項において準用する場合を含む)
- 21条4項及び5項
- 21条の2から第22条の2まで
- 23条1項から3項まで
- 23条の3第1項から5項まで
- 24条
- 25条1項
- 25条の2第2項
- 26条
- 27条
- 子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために講ずべきその他の措置
ここまで、育児介護休業法から、事業主が講ずべき措置を解説しました。
事業主が講ずべき措置のうち、育児に係る措置はこちら、介護に係る措置はこちらで解説しています。
(参考資料等)
厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html
- 育児介護休業法
- 令和5年4月28日 雇均発0428第3号(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について)