2025年対応|社労士試験の独学|労一|育児介護休業法⑦|事業主が講ずべき措置(介護)

まえがき

この記事では、育児介護休業法の9章のうち、介護についての措置を解説しています。

解説では次のように略称を使用しています。

  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律
    ⇒ 育児介護休業法、育介法
  • 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則
    ⇒ 則

また、当記事においては、次の事項に留意してください。

  • 通達「平成28年8月2日 職発0802第1号」は、当記事の投稿時における直近の改正「令和5年4月28日 雇均発0428第3号」で表記しています
  • 解説中にある育児介護休業法の条項は、令和7年10月1日施行で記載しています
  • 解説中にある施行規則は、令和7年10月1日施行で記載しています
  • 解説中の「リーフレット」とは、厚生労働省で提供している「育児・介護休業法改正のポイント」をいいます
  • 解説中の「Q&A」とは、厚生労働省で提供している「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)」をいいます

リーフレットおよびQ&Aそのものは、厚生労働省のホームページ(外部サイトへのリンク)で確認してください。

当記事は、条文等の趣旨に反するような極端な意訳には注意しております。ただし、厳密な表現と異なる部分もございます。

詳しくは免責事項をご確認ください。

21条|対象家族の介護について申出があった場合等における措置等

制度周知・意向確認と情報提供

「要介護状態」「対象家族」「家族」の定義は、こちらで解説しています。

以降の「労働者」からは、日々雇用される者を除きます(育介法2条)

リーフレットで「⑧介護離職防止のための個別の周知・意向確認等」と説明されている制度です。

簡単にいうと、令和7年4月1日からは、事業主に次のいずれもの義務が生じます。

  • 労働者から「対象家族を介護することになった」という報告を受けたら、介護休業に関する制度を知らせて、意向を確認する義務
  • 40歳の労働者に対して、介護休業に関する情報を提供する義務

以降、具体的に解説していきます。

(1項から3項までは、育児に係る規定です)

制度の周知と意向の確認|4項

制度を周知して、休業等についての意向を確認する

令和7年4月1日施行です。

リーフレットでは、「⑧(1)介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認」と表記されています。

義務

  • 対象家族が当該労働者の介護を必要とする状況に至ったこと

事業主は、労働者が上記の申し出をしたときは、当該労働者に対して、次の①および②を実施しなければなりません。

  • 介護休業に関する制度、介護両立支援制度等(*1)などの一定の事項(*2)を、一定の方法(*3)で知らせること
  • 介護休業をするための申出(介護休業申出といいます)および介護両立支援制度等の利用に係る申出(介護両立支援制度等申出といいます)に係る当該労働者の意向を確認するために、面談などの一定の措置(*4)を講ずること

(*1)「仕事と介護との両立に資するものとして厚生労働省令で定める制度又は措置」を「介護両立支援制度等」といいます(4項)。所定外労働の制限(育介法16条の8)などが規定されています。雇用環境の整備(後述)において同じです。

(以降、必要に応じてタブを開閉してください)

法第二十一条第四項の厚生労働省令で定める制度又は措置は、次のとおりとする。

一 介護休暇に関する制度

二 法第十六条の九第一項において準用する法第十六条の八の規定による所定外労働の制限に関する制度

三 法第十八条第一項において準用する法第十七条の規定による時間外労働の制限に関する制度

四 法第二十条第一項において準用する法第十九条の規定による深夜業の制限に関する制度

五 法第二十三条第三項の介護のための所定労働時間の短縮等の措置(第七十四条の二及び第七十六条第十号において「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)


(*2)厚生労働省令で定める事項として、介護休業申出の申出先、雇用保険の給付に関することなどが規定されています。40歳等での情報提供(後述)において同じです。

法第二十一条第四項の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一 介護休業に関する制度並びに前条各号に掲げる制度及び措置

二 介護休業申出及び法第二十一条第四項の介護両立支援制度等申出の申出先

三 雇用保険法第十条第六項第二号に規定する介護休業給付金に関すること。


(*3)厚生労働省令で定める事項を知らせる方法として、書面の交付などが規定されています。

第六十九条の八

第六十九条の三の規定は、法第二十一条第四項の規定により、労働者に対して、第六十九条の十に定める事項を知らせる場合について準用する。

第六十九条の三

1 法第二十一条第一項の規定により、労働者に対して、次条に定める事項を知らせる場合は、次のいずれかの方法(第三号及び第四号に掲げる方法にあっては、労働者が希望する場合に限る。)によって行わなければならない。

一 面談による方法

二 書面を交付する方法

三 ファクシミリを利用して送信する方法

四 電子メール等の送信の方法(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

2 次条に定める事項について、労働者に対して、前項第三号の方法により知らせた場合は、当該労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、同項第四号の方法により知らせた場合は、当該労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該労働者に到達したものとみなす。


(*4)厚生労働省令で定める措置として、面談、書面の交付などが規定されています。

第六十九条の十一

第六十九条の五の規定は、法第二十一条第四項の厚生労働省令で定める措置について準用する。

第六十九条の五

1 法第二十一条第一項の厚生労働省令で定める措置(第三号及び第四号に掲げる措置にあっては、労働者が希望する場合に限る。)は、次のとおりとする。

一 面談

二 書面の交付

三 ファクシミリを利用しての送信

四 電子メール等の送信(当該労働者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。)

2 前項第三号の措置を講じた場合には、労働者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、同項第四号の措置を講じた場合には、労働者の使用に係る通信端末機器により受信した時に、それぞれ当該労働者に到達したものとみなす。


周知や確認する内容は異なるものの、育児に関する規定(21条1項)と趣旨は同じです。

なお、介護については、就業に関する条件の意向を確認して配慮する義務(令和7年10月1日施行)は定められていません(40歳等での情報提供において同じです)


40歳等での情報提供|5項

40歳の労働者への情報提供

令和7年4月1日施行です。

4項と異なり、労働者の対象家族が、当該労働者の介護を必要とする状況に至っていなくとも情報提供が必要です。

リーフレットでは、「⑧(2)介護に直面する前の早い段階(40歳等)での情報提供」と表記されています。

義務

提供する情報

周知と情報提供を要す事項

提供を義務付けられている情報は、次のとおりです(則69条の12)

  • 介護休業に関する制度
  • 介護両立支援制度等
  • 介護休業申出および介護両立支援制度等申出の申出先
  • 介護休業給付金(雇用保険法10条6項2号)に関すること

上記は、厚生労働省令で定める事項(則69条の10を参照)と同じです。

つまり、労働者が介護に直面した場面における周知(21条4項)と同じです。

情報提供の時期

情報提供は、次のいずれかの期間内に行わなければなりません(則69条の13)

  • 労働者が40歳に達した日の属する年度の初日から末日までの期間
  • 労働者が40歳に達した日の翌日から起算して1年間

年度当初などに対象者を一堂に集めて情報提供しても差し支えありません(Q&A)

情報提供の方法

情報提供は、次のいずれかの方法で行わなければなりません。

  • 面談
  • 書面の交付
  • FAX
  • 電子メール等(記録を出力することで書面の作成が可能なものに限る)

FAXと電子メール等については、労働者が希望した場合に限られます(則69条の14)


不利益取扱の禁止|6項

令和7年4月1日施行です。

義務

事業主は、次の事項を理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

  • 労働者が4項(対象家族が介護を必要とする状況に至ったこと)の申出をしたこと

21条の2|介護休業に関する定めの周知等

育介法21条の2は努力義務です。

労働者が介護休業をするか否かを適切に選択できるようにして、紛争の発生を防ぐことが目的です。

育児休業に関する定めとおおむね同じです。

介護休業中の待遇等を定め、周知すること|1項

待遇等を事前定めて周知する(努力義務)

努力義務

事業主は、介護休業に関して、あらかじめ、次の事項を定めるとともに、労働者(一般)に周知するよう努めなければなりません。

  • 労働者の介護休業中における待遇に関する事項
  • 介護休業における賃金、配置その他の労働条件に関する事項
  • 対象家族を介護しないこととなった事由が生じたために介護休業期間が終了した労働者についての、労務の提供の開始時期に関すること(則70条1項1号)
  • 労働者が介護休業期間について負担すべき社会保険料を事業主に支払う方法に関すること

なお、就業規則の作成義務(労基法89条)および周知義務(労基法106条)とは別に設けられた努力義務です(同旨 令和5年4月28日 雇均発0428第3号)

(労基法の義務を超える部分に、努力義務が課されるイメージです)

待遇等を個別に周知する(努力義務)

努力義務

また、事業主は、「労働者が対象家族を介護している」ことを知ったときには、育介法21条の周知(義務)とは別に、上記①から④を労働者に対して(個別に)周知するよう努めなければなりません。

(ただし、労働者のプライバシーを保護する観点から、労働者が自発的に知らせることを前提としています)

介護休業申出をした労働者への明示|2項

個人ごとの待遇等を書面で明示する(努力義務)

努力義務

事業主は、労働者が介護休業申出をしたときは、当該労働者に対し、1項の①から④に関する当該労働者に係る取扱い(*5)を明示するよう努めなければなりません。

(*5)個々の労働者に1項の①②③④を適用した場合の待遇や労働条件等という意味です(同旨 前掲通達)

上記の明示は、申出があった後速やかに、書面の交付により行うものとされています(則71条)


22条|雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置

研修等の実施義務と業務の再配分等の努力義務

育児については、すでに同旨の規定(1項および3項)があります。

介護については、3項(努力義務)のみが定められていましたが、令和7年4月1日からは義務(2項および4項)が追加されます。

介護休業申出が円滑に行われるようにするための措置|2項、4項

令和7年4月1日施行です。

リーフレットで「⑦介護離職防止のための雇用環境整備」と説明されている制度です。

義務

事業主は、介護休業申出が円滑に行われるようにするために、次のいずれかの措置を講じなければなりません(2項)

  • 雇用する労働者に対する介護休業に係る研修の実施
  • 介護休業に関する相談体制の整備
  • 雇用する労働者の介護休業の取得に関する事例の収集および雇用する労働者に対する当該事例の提供(則71条の3)
  • 雇用する労働者に対する介護休業に関する制度および介護休業の取得の促進に関する方針の周知(則71条の3)

また、介護両立支援制度等申出が円滑に行われるようにするために、次のいずれかの措置を講じなければなりません(4項)

  • 雇用する労働者に対する介護両立支援制度等に係る研修の実施
  • 介護両立支援制度等に関する相談体制の整備
  • 雇用する労働者の介護両立支援制度等の利用に関する事例の収集および雇用する労働者に対する当該事例の提供(則71条の4)
  • 雇用する労働者に対する介護両立支援制度等に関する制度および介護両立支援制度等の利用の促進に関する方針の周知(則71条の4)

介護両立支援制度等」とは、則69条の9(前述)をいいます。

措置の候補は同じですが、介護休業申出、介護両立支援制度等申出のそれぞれについて、いずれかを講じなければなりません。


雇用管理、職業能力の開発等に関する措置|3項

努力義務

事業主は、次の事項に関して、必要な措置を講ずるように努めなければなりません。

  • 介護休業をする労働者が雇用される事業所における労働者の配置その他の雇用管理(*6)
  • 介護休業をしている労働者の職業能力の開発および向上等(*7)

(6)(7)の解釈は下のタブに格納しておきます。

  • 「その他の雇用管理」とは、他の労働者に対する業務の再配分、人事ローテーション等による配置転換、派遣労働者の受入れ及び新たな採用等のうちの適切な措置をとることによって、当該育児休業等をする労働者が行っていた業務を円滑に処理する方策等の意であること
  • 「労働者の職業能力の開発及び向上等」の「等」には、育児休業等をする労働者の能力の維持や職場適応性の減退の防止、あるいは当該労働者が育児休業等の休業前に就いていた又は育児休業等の休業後に就くことが予想される業務に関する情報の提供等が含まれるものであること

上記通達における「育児休業等」は、「育児休業(出生時育児休業を含む。)又は介護休業」という意味で使用されています(前掲通達)


23条、23条の2|所定労働時間の短縮等の措置

介護のための所定労働時間の短縮等の措置

「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」といわれる制度です(23条3項本文)

就業と介護の両立が容易(スムーズ)になるよう、設けられた規定です。

(23条1項および2項は、育児に係る規定です)

介護のための所定労働時間の短縮等の措置|23条3項、4項

措置の対象

義務

「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」の対象は、要介護状態にある対象家族を介護していて、(現に)介護休業をしていない労働者です。

労働者は、事業主へ申し出ることにより、「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」を利用できます。

ただし、上記の要件を満たした労働者であっても例外があります。

措置の対象外

事業主は、労使協定の締結を要件に、次の各号の労働者を制度の対象者から除くことができます。

  • 一号 引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
  • 二号 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者(則75条)

労使協定を締結する労働者側の当事者は、過半数労働組合または(ない場合は)過半数代表者です(用語の解説はこちら

なお、「育児のための所定労働時間の短縮措置」と異なり、業務の性質等に照らして措置の実施が困難な労働者を制度の対象から除くことはできません。

(そのため、介護については代替措置の規定もありません)

措置の期間

開始日から起算して連続する3年間

義務

介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、「連続する3年間以上の期間」において利用できる制度としなければなりません(23条3項本文)

「連続する3年間以上の期間」は、労働者が申し出た、「介護のための所定労働時間の短縮等の措置の利用を開始する日」から起算します(23条4項)

例えば、労働者が令和7年3月1日に、事業主に対して「令和7年4月1日から短縮措置の利用を開始したい」と申し出た場合は、最低でも「令和7年4月1日から令和10年3月31日まで」の3年間は利用できる制度にしなければなりません。

措置の内容

義務

「介護のための所定労働時間の短縮等の措置」は、次のいずれかの制度を含まなければなりません(則74条の2)

  • 希望する労働者に適用される所定労働時間の短縮の制度
  • 希望する労働者に適用される労基法32条の3第1項による労働時間の制度(フレックスタイム制)
  • 希望する労働者に適用される1日の所定労働時間を変更することなく始業又は終業の時刻を繰り上げ又は繰り下げる制度
  • 労働者がその就業中に当該労働者に代わって対象家族を介護するサービスを利用する場合に、当該労働者が負担すべき費用を助成する制度その他これに準ずる制度

(事業主が上記①~④から少なくとも一つを選択して制度として定め、労働者が申し出た場合に利用できるようにして下さい。これは義務です。という趣旨です)

連続する3年間のうち、2回以上の利用を可能とする

①②③については、「連続する3年間以上の期間」において2回以上の利用ができる制度としなければなりません(則74条の2)

例えば、労働者が①所定労働時間を短縮する制度を10か月利用した後に、2か月間の介護休業をしたとしましょう。

介護休業の取得に伴い、(労務の提供義務が消滅し)短縮措置は終了するため、残りの2年間について短縮措置を再度利用できるようにと設けられた規定です(同旨 令和5年4月28日 雇均発0428第3号)

④は、要介護状態にある家族の介護に資するサービスであれば、公的介護保険の給付とならないサービスについての費用の助成も含みます(前掲通達)

なお、④の利用回数については、2回以上の利用ができることを要しません(則74条の2)

①における「所定労働時間の短縮の制度」の解釈は、下のタブに格納しておきます。

(育児についての措置のように、原則として6時間にする義務は規定されていませんが、6時間に短縮することが望ましいとされています)

則第74条の2第1号(令和7年4月1日前の74条3項1号です)の「所定労働時間の短縮の制度」は、次のいずれかの内容を含むものであること。

  • 一日の所定労働時間を短縮する制度
  • 週又は月の所定労働時間を短縮する制度
  • 週又は月の所定労働日数を短縮する制度(隔日勤務であるとか、特定の曜日のみの勤務等の制度をいう。)
  • 労働者が個々に勤務しない日又は時間を請求することを認める制度

所定労働時間の短縮の制度を設けるに当たっては、以下の点に留意すること。

要介護状態にある対象家族を介護する場合は、指針第二の十の内容にも照らし、その事業所における通常の所定労働時間が8時間の場合は2時間以上、7時間の場合は1時間以上の短縮となるような所定労働時間の短縮の制度を設けることが望ましいと考えられること。

したがって、法第23条3項の措置として所定労働時間の短縮の制度を設ける場合においては、所定労働時間が1日6時間以下の労働者については、当該制度を適用する必要はなく、また、法第23条第3項の措置としての他の制度等を適用することも基本的には必要ないものであること。


不利益取扱の禁止|23条の2

義務

事業主は、次のいずれかを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

  • 労働者が介護のための所定労働時間の短縮等の措置(23条)の申出をしたこと
  • 労働者に介護のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられたこと

24条|家族を介護する労働者等に関する措置

育介法24条は努力義務です。

(1項および2項は、育児に係る規定です)

家族を介護する労働者に対する措置|3項

育児介護休業法における家族の範囲

努力義務

制度の対象は、家族を介護する労働者です。

事業主は、上記の労働者について、次の制度または措置に準じて、介護を必要とする期間、回数等に配慮した必要な措置を講ずるように努めなければなりません。

  • 介護休業または介護休暇に関する制度
  • 介護のための所定労働時間の短縮等の措置

介護休業、介護休暇、介護のための所定労働時間の短縮等の措置は、いずれも「要介護状態にある対象家族」が要件なため、育介法で定められた最低基準を上回る措置を積極的にお願いしますという趣旨です。

「準じて、必要な措置を講ずるように努める」とは、育介法で定める制度や措置とまったく同じにする必要はありませんが、制度の考え方(申出が必要であったり、制度の対象は男女など)は共通すべきとされています(令和5年4月28日 雇均発0428第3号)

介護のためのテレワーク|2項

介護のためのテレワーク(努力義務)の対象となる労働者

令和7年4月1日施行です。

リーフレットでは「⑨介護のためのテレワーク導入」と表記されています。

就業と介護の両立を容易(スムーズ)にするために設けられた努力義務です。

努力義務

制度の対象は、要介護状態にある対象家族を介護していて、介護休業をしていない労働者です。

事業主は、上記の労働者について、労働者の申出に基づく在宅勤務等をさせることにより当該労働者が就業しつつその要介護状態にある対象家族を介護することを容易にするための措置を講ずるように努めなければなりません。


まとめ

ここまで、育児介護休業法の9章から、次の規定を解説しました。

  • 対象家族の介護について申出があった場合等における措置等(21条)
  • 介護休業に関する定めの周知等(21条の2)
  • 雇用環境の整備及び雇用管理等に関する措置(22条)
  • 所定労働時間の短縮等の措置(23条、23条の2)
  • 家族を介護する労働者等に関する措置(24条)

改正内容は下図に整理しておきます(図中の丸数字は上記に対応しています)

令和7年4月1施行改正前改正後
制度の周知と意向の確認育児のみ介護も義務
40歳等での情報提供新設(義務)
不利益取扱の禁止育児のみ介護に係る申出を追加
円滑な申出のための措置育児のみ介護も義務
努力義務の措置を追加テレワークを追加
育児介護休業法|令和7年4月1日施行

育児についての事業主が講ずべき措置は、こちらの記事で解説しています。


(参考資料等)

厚生労働省|厚生労働省法令等データベースサービスより|https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/kensaku/index.html

  • 育児介護休業法
  • 令和5年4月28日 雇均発0428第3号(「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の施行について」の一部改正について)

厚生労働省ホームページ|育児・介護休業法についてより|
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html

  • リーフレット「育児・介護休業法改正のポイント」
  • 令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和6年11月19日時点)
  • 育児・介護休業法のあらまし