「テキスト読み」に変えたい能動的な勉強法!アクティブ・リコール

本を読む人

まえがき

「テキストを読み込んだはずなのに思い出せない…」

このように、勉強しても結果が出ないときには「アクティブ・リコール」の考え方が役に立つかもしれません。

アクティブ・リコールとは、インプットした情報を積極的にアウトプットすることによって、記憶を定着させる勉強法です。

簡単にいうと、「テキストを読む」よりもテキストで学んだ内容を「思い出す」ことを重視する勉強方法です。

シンプルな方法なため特別なスキルは必要ありません。

また、一人でもできる勉強方法なので独学とも相性は良いです。

以降、アクティブ・リコールについて解説します。

アクティブ・リコールの根拠は?

さきほど、アクティブ・リコールは積極的にアウトプットすると説明しました。

アウトプットを積極的におこなう理由は、記憶を効率的に定着させるためです。

そして、アクティブ・リコールの有効性は複数の研究(参考)で示されています。

当記事は、ケンブリッジ大学で6年間医学を学び、医師を経て起業家となったAli氏の解説を参考にしています。

Ali氏によると、アクティブ・リコールの説得力として2011年の研究があげられています。

その研究では、学生を4つのグループに分け、各学生が同じ内容を学び、学んだ内容をテストしました。

テストの結果、学習教材を4回読んだグループよりも、1回読んでからできるだけ思い出(アクティブ・リコール)したグループのほうが優れた成績を収めています。

ここでの「できるだけ思い出す」は、自己テストを指します。

つまり、学習教材を読んで覚えるのではなく、学習した内容を記憶から検索し、自分にテストを出して確認する方法がよりよい結果を得ています。

アクティブ・リコールを取り入れて勉強してみよう!

アクティブリコールの考え方を取り入れた勉強法はいろいろありますが、ポイントは次の2つです。

  • 定期的に反復する
  • 自分の言葉でアウトプットする(思い出す)

私は、アクティブ・リコールの「できるだけ思い出す」を実践し、社会保険労務士試験や日商簿記1級などに独学で合格しています。

(私のような)特殊な才能を持ち合わせていない一般人でも、工夫すれば合格できる試験です。

そこで、普段から実践している勉強方法を紹介します。

ステップ1|積極的に問題集を解きつつ思い出す

資格試験の勉強方法は、次のような「テキスト・問題集を周回する学習」が一般的です。

(学校の勉強であれば、教科書を読むだけでなく問題集を積極的に解きます)

テキスト・問題集の周回

テキストを読んだ後に問題集を解き、理解の浅い範囲はテキストに戻り用語の定義を確認します。

この、周回する学習方法そのものも、問題を解きつつ学んだ内容を繰り返し思い出しています。

(自分で問題を作るのはハードルが高い…人にもおすすめです)

アクティブ・リコールは「1回読んで覚えなさい!」ではなく、思い出すという行為の繰り返しです。

「テキストを理解してから問題演習で腕試し!」この勉強方法で結果がでない人は、まずは周回する学習を試してみてください。

ステップ2|テキストに戻る前に自分の言葉で説明する

問題集からテキストに戻る前に、自分の言葉で「できるだけ思い出す」という負荷を追加します。

自分の言葉で説明する

理解の浅い範囲の解説を読んだ後に、正しい定義と間違えた理由を(できれば)声に出して説明します。

(周囲に人がいるならば、メモアプリに入力したり、頭の中で説明します)

ポイントは、解説文を複製するのではなく、自分の言葉で一から文章で説明することです。

説明するための思い出す行為が、アクティブリコールにあたります。

声に出した説明が成立するならば、問題集の解説文の余白に書き出します。

(説明できたことを忘れても、思い出すヒントになります)

声に出して説明できないならば、解説を読んでも理解していないといえるため、テキストを読み知識を補います。

(理解したつもりにならないために声に出して説明します)

解説文の正誤の理由を読んで覚えるよりも、学んだ(はずの)正しい定義を何度も思い出しながら自分で定義する学習方法です。

自分で説明する方法は、読むよりも時間を費やすというデメリットもあります。

しかし、正解までのプロセスを何度も自分の言葉で考えるため、既に学んだ概念間をつなげる効果が期待できます。

そして、「できるだけ思い出す」勉強方法は、いざ忘れたときに「思い出す」手順になります。

ちなみに、「声に出して説明する」はファインマンテクニックという手法を取り入れています。

説明する人 丸暗記に頼りたくない方は必見!独学にも応用できる理解を深める勉強法「ファインマンテクニック」

参考|テキストに載っているが問題集にはない(未出題)論点は?

過去問を収録した問題集で起こり得るケースです。

テキストを読み、自分で問題を作成できれば解決します……しかし、なかなか難しい事情もあるでしょう。

作問しない方法を2つ紹介します。

  • テキスト(目)を閉じ、勉強した内容を思い出しながら自分の言葉で声に出して説明する
  • 「テキストを読む⇒覚える」よりも、「勉強した内容を思い出す⇒テキストを読んで確認する」の流れで勉強する

私は、次のように使い分けています。

勉強を始めた段階

テキストを読む⇒読んだ内容をテキストを閉じて思い出す。

勉強が進んだ段階

目次や索引から(今日これから)勉強する範囲を思い出す⇒テキストで確認する。

「思い出す」は、交通機関を利用する際の時間、掃除や入浴など、何かと合わせて行えます。

事前に思い出しておけば、テキストを読む時間は思い出した(出せなかった)ことを確認する時間に変わります。

まとめ

ここまで、アクティブ・リコールが有効な理由と、アクティブ・リコールを取り入れた勉強方法を紹介しました。

アクティブ・リコール勉強法とはその名の通り、能動的に思い出す勉強法です。

思い出すというアウトプットは、テキストを読むよりも負担がかかります。

しかし、単に読むよりも記憶を定着させる効果が高いことが、研究でわかっています。

テキストを読む勉強も大切ですが、「何周読んでも覚えられない…」と行き詰った際は、「読むこと」よりも「思い出す」比率を上げてみてください。

そして、アクティブ・リコールはあくまで学習手段であり、1度行えば勉強が完結するものではありません。

アクティブ・リコールが「思い出す」を繰り返すように、勉強は繰り返し(継続)が大切です。

何かを独学する際は陰ながら応援しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。


(参考)

How To Study: Active Recall – The ‘High Utility’ Technique You Should Be Using|https://aliabdaal.com/activerecallstudytechnique/

Retrieval Practice Produces More Learning than Elaborative Studying with Concept Mapping|https://www.science.org/doi/10.1126/science.1199327

Repeated testing produces superior transfer of learning relative to repeated studying.|
https://www.semanticscholar.org/paper/Repeated-testing-produces-superior-transfer-of-to-Butler/f0e926efa384f3c5a12071cfe393ce6c59d881d7?p2df


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