社労士試験の独学|市販のテキスト・問題集(基本書)を使った勉強方法

まえがき

この記事は、社会保険労務士試験(以下、社労士試験)の独学での勉強方法を解説しています。

当ブログの「社労士試験のロードマップ」の②に相当する内容です。

記事を簡単に要約すると、勉強方法は次の5つの考え方で成り立っています。

  • 先ずは通読し全体像を把握する
  • 問題集を解きながらインプットする
  • 「1度に暗記」より「繰り返す」
  • 「読む、解く」をセットで周回する
  • 「労一」「社一」を後回しにしない

全体像を把握してから暗記へ

ロードマップ上の現在位置を表した図。
  • 1周目 ⇒ 全体像の把握を優先する
  • 2周目 ⇒ 問題集を解きながらインプットする
  • 3周目以降 ⇒ 間違える論点を中心に繰り返す

テキスト・問題集を使ってのインプットは、上記の3ステップ行います。

以降は、各ステップに沿って、勉強する際のポイントを解説します。


1周目|全体像の把握を優先する

1周目のポイントは次の2つです。

  • テキストは毎日読み、勉強を習慣化させる
  • 暗記よりも理解を優先させる

社労士試験の試験範囲を大別すると、10の分野に分かれています。

仮に、10か月で合格を目指すとなると、1つの分野に割ける期間は平均で1か月です。

広い試験範囲を限られた時間で勉強するには、「できる時にやる」ではなく「毎日続ける」が大切です。

また、試験範囲が広いだけでなく、「徴収法」のように他の法令と概念を共有している科目があります。

「勉強を進めること」が正確な理解につながるケースもあるため、知識を積み重ねてからの暗記をおすすめします。

参考|テキスト1周目の勉強期間の目安は?

私は、市販のテキスト1冊を読み終えるまでに1か月かかりました。

市販のテキストは1,000〜1,200ページが主流なので、読む量は1日あたり30〜40ページです。

もちろん、本を読むスピードは経験の有無などで変化します。

アウトプット(問題を解く)にも時間を割きたいため、1〜2か月を目安としてみてはいかがでしょうか。


2周目|問題集を解きながらインプットする

2周目のポイントは次の2つです。

  • テキストに記載のない内容も出題されると割り切る
  • 一般常識科目(労一・社一)を後回しにしない

社労士試験の択一式の勉強は、テキスト・問題集の周回が基本です。

よく「何周する?」など見かけますよね。

しかしながら、次の分野はテキストの販売時期に公表されていないものを含みます。

  • 統計調査
  • 白書
  • 法改正

統計調査、白書を試験範囲に含むのが一般常識科目です。

つまり、テキストは試験範囲を網羅していません。

市販のテキストを暗記するだけでは足りないことを、2周目の勉強で確認してください。

具体的な勉強方法は次のとおりです。

「目次」を確認してから本文を読む

テキスト1周目よりも詳細を学習するため、全体のうち「今日は何を勉強するのか」を明確にします。

「テキストを読む」「問題集を解く」をセットでおこなう

問題を解かないと客観的に自分の理解度は測れません。

「理解した気」にならないためにも「読む」「解く」をセットでおこないます。

なお、試験科目にはそれぞれ合格基準点が設定されるため、得意な科目に注力する必要はありません。

難しいと感じたら理解を後回しにする

まだテキスト2周目です。

ひとつの論点にこだわるよりも、「理解できた」を増やします。

試験科目を横断する制度(併給調整など)もあるため、学習を進めるうちに解決することもあります。

数字の暗記にこだわらない

暗記できるに越したことはありませんが、試験日まで時間はあります。

問題集で頻繁に問われる金額や年数は暗記対象の数字です。

2周目では、暗記の対象さえ把握できればOKです。

頻出論点は試験日までに何度も周回するため、勉強を進めるうちに暗記も進むでしょう。

参考|テキスト2周目の勉強期間の目安は?

私は、テキストを読みつつ問題集を全問解くまでに約2か月かかりました。

ただし、社会保険科目については実務経験が有利に働いています。

周回を重ねるごとに1周に必要な時間は少なくなるため、焦らず進めると良いかもしれません。


3周目以降|間違える論点を中心に繰り返す

周回のポイントは次の2つです。

  • 理解不足の論点を中心に繰り返す
  • 論点のつながりを意識する

2周して理解した論点まで一律にテキストを周回する必要はありません。

むしろ、頻繁に間違える論点に時間を割いて「理解できた」を増やします。

論点のつながりを意識するとは、類似する制度や用語を試験科目を横断して比較することです。

例えば、次の事項を比較(差異を把握)し、科目ごとに場合分けしておきます。

  • 不服申立
  • 労働者、使用者の定義
  • 被保険者の範囲
  • 賃金・報酬の定義
  • 未支給
  • 給付制限
  • 任意適用の条件
  • 適用除外

まとめは紙のノートでもメモアプリでも、お気に入りの方法でOKです。

まとめた内容を試験直前期に確認すれば、横断的に知識を整理できます。

そして、3周目以降で目指すところはシンプルです。

択一式の問題を「6〜7割」正解できるまでテキスト・問題集を周回する

繰り返しになりますが、テキストを読むだけでなく問題集を積極的に解きます。

なぜ問題集を周回するのかというと「覚える」回数よりも「思い出す」回数を増やすためです。

アクティブ・リコールの考え方を取り入れて勉強します。

そして、単なる「うっかり」なのか「知識不足による誤解」なのか、問題を解いて自分のインプット精度をチェックします。

参考
本を読む人 「テキスト読み」に変えたい能動的な勉強法!アクティブ・リコール

テキストを読み込む勉強で結果が出ない方は、こちらの記事が参考になるかもしれません。

あわせて読みたい
社労士試験の独学|択一式問題を解くコツ

択一式問題の解き方を解説した記事です。択一式の点数が伸びないときは参考にしてみてください。

参考|択一式の問題を6〜7割正解できるまで何周かかった?

私は、3周目を終えた際に、問題集(基本書)を6〜7割程度は正解できました。

ただし、実務経験が有利に働いているため、何ともいえないです。

「知らないこと」「経験していないこと」でも、学ぶことで「理解できた」に変わります。

また、周回を重ねるごとに1周に必要な時間は短くなります。

そのため、焦らず進めると良いかもしれません。


まとめ

ここまで、市販のテキスト・問題集を使ったインプット方法を紹介しました。

  • 1周目 ⇒ 全体像の把握を優先する
  • 2周目 ⇒ 問題集を解きながらインプットする
  • 3周目以降 ⇒ 間違える論点を中心に繰り返す

ポイントは1度で暗記するのではなく、繰り返し問題を解きながらインプットすることです。

もちろん、「周回すること」は試験勉強の直接の目的ではありません。

しかしながら、「いま、〇周目!」のように定量的に学習の進捗度を測ることもできます。

試験範囲の広さから学習すべき全体像が見えにくいため、「まずは〇周解いてみる」と決めてしまうのも一つの手段です。

以上が、市販のテキスト・問題集を使ったインプットの解説です。

少なくとも数か月の試験学習が続きます。

スケジュール管理と体調管理に気をつけて、自身が納得できるようやり切ってください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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