この記事は、独学で社会保険労務士試験(以下、社労士試験)の合格を目指す人に向け、勉強方法を解説しています。
当ブログの「社労士試験ロードマップ」の③に相当する内容です。
「一問一答」のメリット・デメリット
社労士試験は過去問の焼き直しがあります。
そのため、基礎的な論点は「一問一答」の問題集で徹底的に勉強します。
「一問一答」のメリットは、過去問を論点ごとに分解していることです。
- 出題頻度を把握できる
- 文章の言い回しの変化を把握できる
- 応用的な論点を追加して改変するなど、難易度の変化を把握できる
- 10年に1度の出題など、優先度の低い論点を把握できる
一方で次のようなデメリットもあります。
- 本試験と異なる出題形式
- 5肢択一式の過去問演習と重複する
- いわゆる難問・奇問も収録されている
- 頻出論点は問題の収録数が増えるため冗長になる
完璧な学習教材はありません。
理解できた論点は試験直前期に復習する程度にし、直前対策として模試を受けることにより、先のデメリットは緩和されます。
一問一答を使った勉強の手順
「一問一答」の問題集は次の①~③の手順で進めていきます。
- 難問・奇問を把握する
- 基礎を中心に周回する
- 頻繁に間違えた論点を復習する
先ずは「難問」です。
手元の問題集に難易度の表示があれば、易・標準・難の「難」は文字通り難問です。
「難問」は、発展的な論点や通達などの解釈例(実務上の取り扱い)も含まれるため、上記の「易・標準」よりは勉強の優先順位が下がります。
ただし、継続して出題されている難問は、理解できるまで周回する対象です。
続いて「奇問」です。
問題集に、はっきりと「奇問」と示されていることは稀です(私は見たことがありません)。
ただ、あまり深く考えなくとも、勉強を進めるうちに次のような問題を解くことになります。
- 10年に一問(1肢)の出題論点
- 頻出以外の範囲から、制度の趣旨や目的ではなく、単に用語や数字を問う問題
上記2つは、理解度や読解力を問う問題ではなく、いわゆる知識問題です。
本試験でも奇問はスルーします(奇問と判断した時点で以降の記述は読みません)。
どうしても気になる場合は、解説の内容を理解したら答えを暗記して次の問題に進みましょう。
例えば、難易度の表示が易・標準・難であれば、「易と標準」は「基礎」です。
なお、「一問一答」の問題集を完璧にこなしてからではなく、6〜7割の理解で「選択式」の問題集を併用しても構いません。
おそらく、「選択式の問題を全く解けない」とはならないでしょう。
ただし、①で把握した「難問・奇問以外の過去問」は、試験日までに理解が必要です。
過去問は多くの受験者が対策してくるため、遅れを取らないように徹底的に勉強します。
一問一答の過去問演習の仕上げとして、頻繁に間違えた問題を解きます。
問題を解く際は、「過去に間違えた理由」と「現在は正解できる理由」を言語化できるレベルを目指してください。
例えば、「△△と勘違いしていたため間違えた。正しくは〇〇」のようにです。
ポイントは、解説文を読み上げるのではなく、自分の言葉で説明することです。
自分で説明できなければ、制度や用語に対する理解が不足しているため、テキストに戻り復習します。
参考|「5肢択一」それとも「一問一答」?
- 本試験と同じ形式で勉強する ⇒ 「5肢択一」
- 論点ごとに勉強する ⇒ 「一問一答」
私は次の理由で一問一答を優先しました。
- 5肢択一は、繰り返し解くと正誤の位置を覚えてしまい、実力以上の結果を実感した
- 一問一答で本試験で捨てるレベルの難問・奇問を把握したい
「5肢択一」の問題集を1肢ごとに解き、「一問一答」のように使用しても、上記のバイアスがかかります。
また、テキスト・問題集(いわゆる基本書)は、過去問をベースに論点を厳選していたため、「厳選していること」が難問・奇問の把握のネックとなりました。
ただし、「厳選しているおかげで頻出論点を効率よく勉強できた」とも言えます。
このように、それぞれメリット・デメリットはあります。
予算が許すなら、目的に合わせて使い分けてみてはいかがでしょうか。
「選択式」は落ちないための勉強を
- 選択式の勉強は、択一式を6~7割理解してから始める
- 問題を解く前に、過去問で合格に必要なレベルを把握する
選択式の合格基準点は各科目3点以上です。
満点を取る勉強は必要はありません。
「択一式」と比べると、本試験により近い時期に勉強を開始します。
そのため、「完璧を求めるあまり時間が不足した…」とならないように気をつけてください。
選択式問題集を使った勉強の手順
選択式の問題集は、「解けない問題 ⇒ 解いて覚える」「解ける問題 ⇒ 読んで思い出す」という、理解して暗記そして記憶の維持までこなせる教材です。
勉強は、次の①~③の手順で進めていきます。
- 過去問から解く
- 解けない問題を中心に周回する
- 選択式の問題集を「テキストを読むこと」に代える
先ずは、過去問で「合格に必要なレベル」を確認します。
- 1科目10分を限度に、答えを見ないで解く
- 各年度の合格基準点から救済措置の有無を確認する
上記2つの方法で、現在の自分の実力と本試験レベルとの差異、救済措置が取られた問題を把握します。
救済措置が取られていない年度の問題が、本試験までに正確に暗記または理解しなければならない数値や用語の基準です。
①で過去問を確認した後は、実際に選択式の問題を解いて各制度を勉強していきます。
選択式の問題は、正しい文章や条文が元々あり、それに空欄が設定されます。
つまり空欄が出題論点です。
初見で正解できた問題は、出題論点を理解できています。
言い換えると、テキスト・択一式の問題集で勉強してきた成果です。
一方、解けない問題は、出題論点の理解が不足しています。
言い換えると、テキスト・択一式の問題集で勉強しきれていない論点です。
そのため、「解けない問題」の正しい選択肢を暗記するのではなく、テキスト・択一式の問題集を併用し知識を補います。
選択式の問題集をひと通り解いた後は、「解ける問題」は空欄を補完して流し読みします。
空欄を補充しながら読むため、テキストを読むよりも能動的に読むことができます。
日常的な勉強において、「テキストを読む時間」を「選択式の問題集を読む時間」に代えるイメージです。
もちろん、知識の抜けを確認するために、試験直前期にはテキストも通読してください。
選択式問題のグループ分けなどを解説した記事です。点数が伸びないときは参考にしてみてください。
ここまで、「一問一答」「選択式」の問題集を使った勉強方法を紹介しました。
一問一答の勉強の手順は次の流れです。
- 難問・奇問を把握する
- 基礎を中心に周回する
- 頻繁に間違えた論点を復習する
選択式の勉強の手順は次の流れです。
- 過去問から解く
- 解けない問題を中心に周回する
- 選択式の問題集を「テキストを読むこと」に代える
ポイントは1度で暗記するのではなく、周回する勉強です。
「選択式」については、毎年のように救済措置が取られています。
ちなみに、私が受験した年度の「労一」の合格基準点は「1点」です。
満点を取る勉強は必要ないので、先ずは過去問を解き、周回が必要な論点を見極めてください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
①学習ロードマップの全体像|スケジュールの立て方と管理のコツ
③一問一答・選択式問題集の勉強方法を解説